大阪のぶるぶる
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第一章
大阪のぶるぶる
寒い、そう言うしかなかった。
辰巳有紗長い髪の毛を金髪にしていてきつい感じの目だがよく見ると目の光は気弱な者で口元もそんな感じの彼女は大阪市住吉区の街中を歩いて思っていた。背は一六一位で全体的に整ったスタイルだ。グレーの端に白い二本のラインが入っている短いスカートとスカートと同じ色で袖のところにやはり二本のラインが入っているブレザーと赤い細いリボンと白いブラウスの制服といった格好だ。ただしブレザーの上にジャケットを着ていて脚は黒ストッキングで覆っている。
「寒いわね」
「うん、急にね」
隣にいる長洲春海が応えた、有紗とは中学からの付き合いで今は一緒に神戸にある八条学園高等部に通っている。茶色の長い波がかった髪の毛をツインテールにしていてやや切れ長の目と濃い眉が印象的な童顔の女の子だ。背は有紗と同じ位だが胸は明らかに九十を超えている。制服は有紗と同じものだが白いコートを羽織っている。二人は同じクラスで同じ部活で家も近所なので一緒に帰っているのだ。
「そうなったわね」
「だからもうよ」
「こうして冬着になったわね」
「大阪はまだましだけれど」
「やっぱり神戸は寒かったね」
学校帰りの夜道を歩きつつ有紗に言った。
「前は海ですぐ後ろが山で」
「思いきり風が来るから」
「寒いわね」
「本当にね」
「だから寒いけれど今は大阪もね」
自分達が住んでいるこの街もというのだ。
「寒いわね」
「神戸よりましでもね」
「全く、こんな時はね」
有紗は寒さに怒って言った、それに怒っても仕方ないと思いつつ。
「おうどんよ」
「おうどん食べてなのね」
「あったまるのが一番よ」
こう言うのだった。
「本当にね」
「もうすぐお家よ」
春海はうどんを食べたいという有紗に突っ込みを入れた。
「だからね」
「晩ご飯が待ってるわね」
「暖かいお家もね」
「お母さん今夜はおでんって言ってたし」
有紗は朝家を出る時に母が言ったことを思い出した。
「あったまるわね」
「おでんいいじゃない、ちなみにうちはカレーよ」
「カレーもいいわね」
「あったまるわよね」
「ええ、じゃあお互いにね」
「晩ご飯食べてあったまろうね」
春海は笑顔で言った。
「そうしようね」
「それじゃあね、ただね」
「ただ?」
「冷えてるのは事実だから」
それでというのだ。
「ちょっとあったかいの飲んでいく?」
「ああ、自動販売機で」
「そうしよう、ホットでね」
「ホットコーヒーとかね」
「そうそう、そういうの飲んで」
そうしてというのだ。
「あったまろう」
「それじゃあね」
春海も頷いてだった。
二人は丁度通りがかりにあった自動販売機で缶コーヒーホットのそれを買って飲んで温まることにした、そして。
それぞれ買ったがここで有紗は眉を曇らせて言った。
「スーパーで買う方がね」
「安いのよね」
「飲みものってね」
「コンビニも高いわよね」
春海はこうも言った、二人共微糖のミルク入りを買っている。
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