イベリス
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第三十話 ゴールデンウィークが終わってその七
「実は頭よくも何もね」
「ないんですね」
「そうだよ」
実際にというのだ。
「そこはね」
「それじゃあ大事なのは」
「すぐにわかる」
「そのことがね」
まさにというのだ。
「大事で」
「難しい文章とかは」
「まやかしだと思ってね」
「読まないことですね」
「そうだよ、本当に覚えておいてね。単純明快こそがね」
それこそがというのだ。
「真実なんだ」
「そういうことですね」
「そうだよ、じゃあね」
「そうした本を読んでいきます」
「そうしていってね」
「そうします」
咲は部長の言葉に頷いた、そしてだった。
この日は部活に出てからアルバイドだった、その時に速水に部長に言われたことを話すとこう言われた。
「その通りです」
「部長さんのですか」
「はい、小難しい文章はです」
「内容がないですか」
「何を言ってるかわからなかったり妙な造語や横文字を使ったり」
「そうした文章はですか」
「実はです」
咲に確かな声で口元を微笑まさせて述べた。
「中身がないのです」
「だから読んでもですか」
「意味がありません、まことに真理はです」
「単純明快ですか」
「わかりやすいです、そんな文章を読んで」
そしてというのだ。
「あれこれ考えるなぞです」
「時間の無駄ですか」
「そんなことをしても利益になりません」
「部長さんの言われる通りに」
「はい」
まさにというのだ。
「ですから」
「それで、なんですね」
「これは何を言っているのかわからないと思えば」
その文章を読んでだ。
「その時はです」
「読むのを止めて」
「他の小説なり漫画なりをです」
「読めばいいですか」
「私も哲学書は読まないですから」
速水もというのだ。
「漫画や小説は好きですが」
「それでもですか」
「そうした本はです」
「そうですか」
「私自身哲学書は何を言ってるかわからないとィメージはあるので」
その為にというのだ。
「どうしても」
「読まれないですか」
「そうです」
「そうなんですね」
「哲学も本来はです」
「わかりやすいものですか」
「思想も。言いたいことをわかりやすく言うことも」
このこともというのだ。
「人として重要ですね」
「そうですね」
確かにとだ、咲も頷いた。
「さもないと問題がありますね」
「それを出来ていない哲学書や思想書はです」
「駄目ですか」
「哲学者も思想家も」
人間もというのだ。
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