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産まれた時

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第一章

                産まれた時
 これはふわりが産まれた時のことだ、まだ名前はついておらずあるブリーダーの家で兄弟達と共に産まれた。
「クゥ~~ン」
「クゥ~~ン」
「クゥ~~ン」
「クゥ~~ン」
「四匹いて一匹だけ雌ね」
「そうだな」
 ふわりの産まれた家のブリーダーの夫婦は四匹の子犬達を見て話した。
「どの子も元気だといいな」
「そうね、障害があったら」
「その時はペットショップに渡さないでな」
「里親探してあげましょう」
「ブリーダーをしていてもな」
 夫が妻に話した。
「命だ」
「ええ、だからね」
「粗末にしたらいけないからな」
「障害があっても」
 それでもというのだ。
「ちゃんと期限まで育てて」
「そしてボランティアの人に話して」
「里親探してもらいましょう」
「そうしよう、この子達だってな」
 見ればふわりの両親達は産まれた我が子達をいとしげに見ている、産んだばかりの母犬だけでなく父犬もだ。
 四匹の子犬達を優しい目で見ている、夫はその二匹を見て妻に言った。
「子供達が愛しいからな」
「その愛情に応えてあげないとね」
「だからちゃんとしたペットショップに売ってな」
 そうしてというのだ。
「そしてだ」
「障害があってもそうして」
「そしてこれからもな」
「愛情を以て育てないとね」
「命を扱っているんだ」
 それならというのだ。
「そうしたことを忘れるな」
「絶対にね」
「そう思って私達はこの仕事やってるしな」
「どの子も幸せになる様にしないとね」
「だからそうする、しかし」
 ここでだ、夫は。
 その産まれたばかりの雌犬、ふわりを見て言った。
「この娘はな」
「ええ、兄弟の中で一番可愛いわね」
「お兄さんが三匹いるけれどな」
「どの子よりも可愛いわね」
「お母さんよりもな」
 ふわりは産まれてすぐにそう言われた、そして。
 育てていくとだった。
「クゥンクゥン」
「ふわりは凄く賢いわね」
「ああ、トイプードルの中でもな」
 頭がいいと言われる種類の犬の中でもというのだ。
「かなりな」
「そういう娘ね」
「そして一切喧嘩もしなくてな」
「兄弟やお父さんお母さんにいつも寄り添っていて」
「私達にも懐いてくれる」
「いい娘ね」
「これは凄くいい娘になるぞ」
 夫は言い切った。
「この外見で頭の良さでな」
「性格もいいわ」
「必要な時以外吠えなくて」
「誰にも親しく接して優しい目を向けて」
「こんないい娘はいないぞ」
「そうよね」
「この娘を家族に出来たら幸せになる」
 夫は言い切った。
「そしてこの娘もな」
「幸せになれるわね」
「ああ、だからお兄さん達も優しく接しているんだ」
 妹である彼女にというのだ。
「末っ子だからな」
「ふわりは末っ子気質ね」
「いい意味でな、物凄く可愛くなって」
 見れは産まれたばかりのマズルが目立つ外見からだった。 
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