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レーヴァティン

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第二百二十九話 姿を隠しその六

「励んでいる」
「それは日課ですね」
「鍛錬や学問は」
「それは日々励まれている」
「そうされていますね」
「朝にな」
 起きるとすぐにだ。
「それで身体を起こしな」
「頭も起こされていますね」
「そして朝飯を食され」
「そのうえで、ですね」
「政に向かっている、しかし休みの日は思い切ってだ」
 その政はというのだ。
「離れている」
「そうしてですね」
「ゆっくりと休まれ」
「そのうえで、ですね」
「また働かれますね」
「そうだ、ではお前達もな」
 また周りに話した。
「休め」
「わかりました」
「そうさせて頂きます」
「我等も」
「その様にな」
 こう命じてだった。
 英雄自身も休みを摂った、そうして女達と共にいる時も楽しむが彼は休日の夕刻に茶室で茶を飲みつつだった。
 茶を煎れた僧侶にこう言った。
「やはり女はいい」
「楽しまれましたか」
「存分にな、だが」
 ここで英雄はこうも言った。
「これも過ぎるとな」
「女性特に美女は二枚刃の鉋といいます」
「楽しみそしてだな」
「誰かに声をかけらぬかと」
「気になってな」
「身体も心も削る」
「まさに二枚刃のだ」
 それのというのだ。
「鉋というな」
「左様であります」
「俺は女達を相手にしているが」
「それでもですか」
「楽しみはする」
 それはというのだ。
「しかしな」
「気になることはですか」
「それはないとな」
 女達が声をかけられることはというのだ。
「考えているからな」
「大奥の中で」
「ここにいてもな、だからな」
「気に病むことはですか」
「ない、大奥を作るつもりはなかったが」
「ありますと」
 それならというのだ。
「やはりです」
「大奥に男は近寄れない」
「医師ですらも」
 女の医師がいるのでそれでいいのだ。
「ですから」
「大奥の俺の女に男が近寄らずな」
「間違いも起こりません」
「そうだな」
「外出の時も」
「目付がいるからだな」
「ですから」
 それでというのだ。
「やはり大奥はです」
「あるべきだな」
「後宮もですが」 
 これもというのだ。 
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