FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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おかしい二人
前書き
この章が終わったら実は100年クエスト編を絡ませていく予定ですが、最終章で要になる主要人物たちの覚醒場面がうまく作れない・・・
ウェンディside
「シェリア!!」
ユウキさんを地上に下ろしたシェリアの元へと駆けていく。その声で彼女も私たちに気が付いたようで、こちらへと笑顔を向けた。
「ウェンディ!!やっぱり来てたんだ!!」
「うん!!シェリアたちも来てたんだね!!」
まさかシェリアたちが来ていたとは思ってなかった。それに、上の方からシリルとレオンが話している声が微かに聞こえたため、どうやら全員がここに集まることができたらしい。
「ラウルもいるよ!!」
「うわ~!!びっくりした~!!」
「あんたどこから出てきたのよ」
シェリアの後ろから驚かせるように現れたラウルにセシリーとシャルルはびっくりした様子。そんな和気あいあいと話していると、ミハエルさんとジェリーさんが声をかけてきました。
「君はあの時の・・・」
「え?誰?」
ミハエルさんはユウキさんがレオンに爆弾を投げた時に隣にいたシェリアのことを覚えていたらしい。そして、ユウキさんもそれに気が付いたようで・・・
「ってことはもしかしてティオス・・・に似てるやつも来てるのか?」
「うん。シリルと合流してるんじゃないかな?」
そう言って上を見上げるシェリア。ここからでは見えないけど、レオンの匂いもするし、たぶん彼女の言う通りなんだと思う。ただ、シリルの名前が出た途端、ユウキさんの表情が変わった。
「そうだ!!シリルの奴よくも突き落としやがったな」
危うく死ぬとこだったぞと続けるユウキさん。でもその気持ちはわかります。私もてっきりシリルが滅悪魔法に取り込まれてしまい、理性を失っていると思いましたから。
「たぶんユウキさんが邪魔だったんだね~」
「まぁ・・・魔法も使えないとね」
「なんだと!?」
「ちょっとセシリー、シャルル」
怒りを抑えられない彼に対して火に油を注ぐようなことを言う二人。それに彼はますますヒートアップしてましたが、シェリアが彼を宥めてくれます。
「たぶんシリルはあたしたちが来てることに気が付いたからあなたを突き落としたんだよ。その方が安全だからね」
「何がどう安全になるんだよ!!」
「だってレオンの攻撃に巻き込まれたら、あなたじゃ防御できないだろうし?」
魔法が使えないユウキさんがあの場に残っていると、高火力の攻撃力を持っているレオンの邪魔になってしまう。彼の一撃は力強い分、周りにも被害が出やすいからです。
「じゃあユウキさんたちはここで待っててもらって私たちも助けに行こ、シェリア」
シリルとレオンの手助けができるのは私たちしかいない。そう思い提案をしたが、彼女の答えは意外なものだった。
「えぇ!!必要ないよ!!だってレオンとシリルだよ?」
「いや・・・そうだけど・・・」
思っていた回答と違い思わず言葉に詰まってしまう。いつものシェリアならレオンを助けに行くことを拒むことなんてありえないのに・・・どうしたんだろ?
「レオンがいるから大丈夫。すぐに王様なんて倒して帰ってくるよ」
「だといいんだけど・・・」
彼女たちと再会した時から拭えない違和感。その正体が少しずつわかってきたような気がしましたが、確証が持てない私は言う通りに待つことを選択するしかありませんでした。その選択が誤っていることも知らずに・・・
シリルside
「随分と余裕だな、お前」
不敵な笑みを浮かべるバリーザウィッチに対し目を細めたレオンがそう言う。よほど自分の力に自信があるのだろう、彼は俺たちのことなどすぐに倒せると思っているようだ。
「勘違いしないでほしい。君たちの力は認めているよ。ただ、私には及ばないというだけだ」
「なら・・・試してみろよ!!」
その挑発で真っ先に走り出したのはレオン。普段はこんな挑発に乗らない彼がこうもわかりやすく動いたことには驚いたが、彼の実力をよくわかっている俺からすれば、率先して動いてくれることにありがたみを感じてしまう。
「氷神・・・」
突撃しながら、その速度を生かしつつ地面を蹴り身体を一回転させる。そのまま彼は左足に纏わせた氷の冷気を相手目掛けて振り下ろす。
「氷結!!」
氷の神と言われている彼の攻撃はフィオーレでもトップクラス。相手が天使なだけにどれだけのダメージを与えられるかは未知数だが、この攻撃を受ければ少なからずダメージは受けるはず。俺はその一瞬の隙を突いてさらなるダメージを与えよう。
そう思っていた。しかし、バリーザウィッチはその重たい一撃を片腕で受け止めて見せたのだ。
「「!?」」
想定外の出来事に目を丸くしてしまう俺たち。そのせいで、次に動き出していた相手の動きに反応することが出来なかった。
「パワーもスピードもある。噂に違わぬ実力を持っていると褒めたいところだが・・・」
身体が宙に浮いている状態のレオンに対し、バリーザウィッチは身動きの取れない彼の顎を的確に突く。
「がっ!!」
「私の前では無力と言わざるを得ない」
あまりにも素早く・・・かつコンパクトに打ち出された拳だったにも関わらず、突き上げられた彼の身体は天井へと突き刺さるほどの威力が込められていた。
「レオン!?」
以前よりも体格が大きくなったことでパワーが増しているはずのレオンの一撃を容易く受け止め、なおかつその肉体を最小限の力で打ち上げられる相手の力。本来なら彼の対処に神経を注がなくてはならないはずだが、俺は予期できなかった仲間の状態を見てそちらに気が行ってしまった。
「よそ見かい?シリル」
「!!」
そのせいで、敵に背後を難なく取られてしまう。
「くっ!!」
慌てて振り返り両腕をクロスさせる。しかし、バリーザウィッチはそれを読んでいたのかなおざりになっている足元を払ってきた。
「わっ!!」
バランスを崩しその場に膝をついてしまう。その隙を彼が見逃すわけもなく、頭部目掛けて蹴りを放ってきた。
「危なっ・・・」
ほとんど反射で倒れ込むように後方に交わそうとした俺。そのおかげでなんとか彼の蹴りは回避することができたが・・・
「なっ・・・」
まるでそれを狙ったかのように天井から矢が降り注いでくる。
「うわああああああ!!」
一瞬死を覚悟するほどだったが、運が良かったのか降ってきた矢は掠める程度で一本も身体に突き刺さるようなことはなかった。
「助かった・・・」
致命傷間違いなしかと思われた状況だっただけにこれには安堵の表情を浮かべる。ただ、至る所からジワジワと血が出てきており、長期戦になると間違いなく不利になる。
「どうだいシリル。その状態ではまともに動けないんじゃないのか?」
ゆっくりと身体を起こすとバリーザウィッチはそれを静かに待っていた。その余裕がムカつくが、今はありがたいと思うことにしておこう。
「不意の罠が不発だった割には随分と余裕だな」
「何を勘違いしているんだい?私は君を殺すために今の罠を仕掛けたのではない。君の動きを封じるために使用していたんだよ」
「??どういうこと?」
「言っただろ?私の目的は君を天界に連れて行くこと。こんなところで殺すわけがないじゃないか」
言われてみればそうだった。こいつはそのためにわざわざ本来の世界とは別の世界にやってきている。その目的を自ら潰すことなどありえない。そう考えると、まさかさっきのは計算して矢の落ち方を調整していたってことか?
「これは・・・」
この場での戦いは避けた方がいいかもしれない。相手に有利なこの場所での戦いはあまりにも不利。実力に圧倒的な差があるならそれを覆せるのだろうが、それも互角・・・いや、なんなら相手の方が力も勝っているかもしれない。
「全く・・・舐めた真似しやがって・・・」
うまく相手をこの場から外へと誘い出す術はないかと思考していたところ、天井にハマっていたレオンがようやく抜け出たらしく、隣へと並ぶ。
「今のチャンスで俺たちを仕留めなかったこと・・・後悔するよ」
「後悔?それをさせてくれる実力が君たちにあるとは思えないが・・・」
なおも余裕綽々なバリーザウィッチの言葉にヒートアップしているのがわかるレオン。ただ、ここで突っ込ませるわけにはいかない。
「ダメだレオン。ここじゃああいつに有利すぎる」
「関係ないよ、シリル。俺が・・・」
姿勢を低くしたかと思うと地面を強く蹴り間合いを詰めるレオン。その速度は間違いなく今までの飛び抜けた能力をさらに上回っている。
「負けるはずないだろ!!」
強い踏み込みから黒い冷気を纏った拳を打ち出すレオン。それに対してバリーザウィッチは横に大きく身体をずらす。すると、彼の踏み込みにより畳が浮き上がり、拳を放とうとした彼にそれが激突する。
「っ・・・」
「まるで直線的な動き・・・期待外れといったところかな」
なおも挑発してくるバリーザウィッチ。そしてそれがわかっているはずなのになおも突っ込むレオン。それをことごとくを回避され、受け止められカウンターを喰らっているにも関わらず、レオンは一向に攻め手を変えようとしない。
「なんだ?何かがおかしいぞ?」
いつも見せてくる頭脳的な動きや間合いを置く冷静さがまるでない。まるで今までと違う行動を取り続ける彼の姿に、俺は困惑するしかできなかった。
後書き
いかがだったでしょうか。
シェリアとレオンの今までとは異なる言動が今回のストーリーのキーになりますね。
それによりシリルたちにもいい影響が与えられる予定なので、しっかり成長できたと思えるように書きたいと思います。
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