レーヴァティン
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第二百二十八話 建て直しその十一
「民を粗末に扱った国が保つか」
「それはないことです」
「決して」
「その様な国は滅びます」
「そうならない筈がありません」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「俺もだ」
「まずはですね」
「民を考え」
「そして家を建て直した」
「左様ですね」
「その暮らしを支えるものもな」
城の中にあるそういったものもというのだ。
「建て直した、そしてな」
「それで、ですね」
「それから今に至りますね」
「守りか人やものか」
「そうした話に」
「幸い今は両方進められている」
城壁や櫓や門の再建と舎や蔵のそれもというのだ。
「ならこのままいく、使える人手も銭も材も全て使ってだ」
「城を再建し」
「そうしてですね」
「その後で」
「ここをだ」
会津若松城、この城をというのだ。見れば勇壮かつ優美であった五層五階の天守閣も今は存在していない。
だが天守台はある、英雄はそちらの方も見て話した。
「奥羽の政の要の一つにだ」
「しますね」
「そしてそのうえで、ですね」
「さらにですね」
「要を築きますね」
「仙台もそうしてな、そして他にもだ」
会津や仙台だけでなくというのだ。
「要を築くが」
「やはり会津と仙台ですね」
「この二つが大事となりますね」
「これからは」
「そうだ、そして平泉だが」
敵の拠点であるそこはというと。
「実は平定の後はだ」
「拠点にされないですか」
「政のそれに」
「そうお考えですか」
「それよりも秋田や南部だ」
そうした場所だというのだ。
「柱をもうけるのはな」
「平泉ではないですか」
「あの地面ではないですか」
「敵の拠点でも」
「奥羽の真ん中で交通の便はあるが」
しかしというのだ。
「交通は会津の方がいい、かつ港もないし田畑も拓けていない」
「だからですか」
「平泉は避けますか」
「あちらではなくですか」
「会津や仙台に拠点を置きますか」
「そうしていく、あの地も治め交通の要とするが」
それでもというのだ。
「治める柱にはなりにくい、天下の中にある奥羽を治めるには」
「それにはですか」
「適した地ではない」
「だからあの地を交通の要としても」
「治の要にはしませんか」
「要の柱はそうした場所でだ」
そしてというのだ。
「ことを進めていく」
「そうですか、ではですね」
「奥羽はそうして治めていく」
「天下の治の中で」
「そうお考えですね」
「そうだ、では会津の城を再建していく」
こう言ってそうしてだった。
英雄は留守役をしつつ城の再建を進めていった、そうして戦局も見ているが報は毎日入ってきていた。
その報を城の中に置いた本陣で聞いて彼は言った。
「順調と言うべきだな」
「はい、仙台にも山形にも兵は進み」
「国人達はこぞって従ってきています」
「戦をしても勝っています」
「何の問題もなくです」
「ことを進めていきます」
「そうだな、では進軍する軍勢にだ」
その彼等にとだ、英雄は淡々として述べた。
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