おっちょこちょいのかよちゃん
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
174 組織「さそり」の襲来
前書き
《前回》
黒手組と交戦する剣奪還班は敵を圧倒的な攻撃で次々と撃破していき、残る首領・アピスと対峙する。そしてアピスは最後の手段として牛の姿に変化し、彼らを殺めようとするも失敗して葬られた。その一方、偽物の杖・護符・杯で動けなくなった戦争主義の世界の長・レーニンの元に彼に身体を提供すると言う者が連れて来られる。その者は杉山さとしであり、レーニンと杉山の身体が融合した!!
オリジナルキャラ紹介・その15
関根金雄 (せきね かねお)
群馬県警所属の警察官。初登場113話。椎名の友人でライバル。彼と同じく赤軍や東アジア反日武装戦線の壊滅に燃える。国定忠治および赤城山の力が込められたという忠治の刀を武器とする。見聞の能力を有する。好きな食べ物はラーメン、天丼。
一人の女の子が走って逃げていた。
(はあ、はぐれちゃった・・・!!)
女の子は異世界で本部守備を担当していた。学校の友達三人、そしてこの世界の味方になってくれる人物と行動していたのだが、敵の襲撃を受けて散り散りになってしまったのだ。
「はあ・・・、はあ・・・」
女の子が疲れて動けなくなる。その時、一台の飛行機が飛んできた。
(まさか・・・!!)
女の子は別の敵だったと思うとこれでは死を覚悟するしかないと思った。飛行機が着陸し、大人の女性が降りて来る。
「大丈夫?どうしたの?」
女性は聞いてきた。
「実は私、逃げた来たんばい・・・。はあ、はあ、とっても大変な目に遭ってん・・・」
女の子は福岡弁で喋っていた。
「そうだったの。私は羽柴さり。異世界の護符の持ち主よ。この飛行機は私の護符で出したの。対処しきれない敵がいたって聞いたんで援護に来たわ」
「あ、ありがとう。私、羽井玲衣子。友達といたんやけど、敵の攻撃に何にもできんかて・・・」
「それで助けを求めて通信機で援護頼んだのね」
「はい・・・」
「友達と連絡取れる?」
「はい」
玲衣子は通信機を出して散った友達に連絡を取る。
「こちら羽井玲衣子。皆大丈夫?」
『こちら鶴井。皆大丈夫よ』
「了解。今、護符の持ち主と会ったけん、そっち向かうよ」
『ありがとう、待っとるよ』
通信を切った。
「それじゃこの飛行機に乗って」
「はい」
さりは玲衣子を飛行機に乗せた。機内には中学生程の男子と小学生の男子が一名ずつ、そして高学年か中学生程の女子が二名、そして武将のような人間が一名いた。
「こちらは尾藤海斗君にさくらさきこちゃん、杉山もと子ちゃん、長山治君よ。で、この人が『ここの世界』の清正っていうの」
さりが紹介し、玲衣子も長山達に自己紹介した。
「ところで、襲ってきた敵ってどんな奴だったの?」
さりは質問する。
「そいつは、多数の人間を連れて来たんよ。地面を爆発させるし、どこからか沢山の水を出して溺れさそうとするし、それで私らを『お前ら金にしてやる』とか変な事言うて来るけん、何とか戦おうとしたけど、手に負えん。散り散りになったのも地面の爆発によるもんばい」
「そうだったの。よく皆助かったわね」
「で、その『金にする』っていうのは?」
「おそらくアメリカ大陸の侵略者として生きていた者らしいな」
清正が説明する。
「侵略者?」
「ああ、スペインという国の人間は財産を豊かにする為にアメリカ大陸を発見しては征服の為にそこに住む住民を虐殺し、その者達の財産を略奪したのだ」
「例えばメキシコとかコロンビアとか?」
「左様。更にはそこに金が眠ってあると言う情報を聞き、それを狙う為に侵略した者もいる。そしてアフリカとかいう大陸の人間をさらっては奴隷として売って死ぬまで労働させたという話も聞く」
「そんな酷い奴が来たわけ?とんでもないわね。急ぎましょう!」
さきこは話を聞いて憤った。皆は玲衣子の友達と合流する為にさりが出した飛行機で先へと進むのだった。
昼の休憩をしていたかよ子は眠くなり、寝てしまった。その夢は暗闇の中だった。
(この夢は・・・?)
[貴様の想い人は私の物となった・・・]
(『私の物』?それ、どういう事・・・?)
そして気が遠くなっていった。
本部の一室。まき子達が昼休を終え、イマヌエルと共に各々の動向を確認していた。
「敵が本部に侵入してきたようだ。西側の方が攻撃されている」
「ええ!?」
「今、羽柴さり君達に救援に向かわせている。そして東の向こうの方の杖の所有者は・・・」
「かよ子達がどうかしたの?」
「また別の敵と当たりそうになっている。しかも、来ているのは・・・、この世界の人間じゃない」
「って事は赤軍!?」
「そうかもしれない。でなきゃ赤軍と同盟を結んでいる東アジア反日武装戦線かもしれないな」
(かよ子・・・!!)
異世界の敵でも厄介だというのに赤軍や東アジア反日武装戦線の人間とぶつかったらとんでもない事になってしまうとまき子は心配で体が震えてしまっていた。
「山田、大丈夫かブー?」
かよ子はブー太郎に起こされた。
「ブー太郎・・・。私、どうしてたの?」
「お前、何か息苦しくなっているかのようにうなされていたんだブー」
「私が・・・」
かよ子はふと思い出した。
(そうか、あの夢・・・!!)
かよ子はその「夢」を必死に思い出そうとする。
(一体、何だったんだろう・・・?)
しかし、脳ミソはすぐに限界が来た。
「かよちゃん、大丈夫だよ、きっと不安もなくなるよ!」
「そうじゃ、儂なんか今までの不安な事も殆ど忘れとるぞい!」
まる子と友蔵が励ました。しかし、まる子はともかく友蔵は単に忘れっぽいのではと皆は心の中で突っ込みたくなった。
「・・・なあ、もっと嫌な気配がするぜ」
大野は危機感を感じていた。関根も同様である。
「もしかして、また儂らを殺しに来たのか!?」
友蔵は怯える。かよ子は迷っている場合でなく、杖を使う準備をする。
(どんな敵・・・?この世界の人間?それとも赤軍・・・?)
「来たよ!」
関根は気づいた。早々と国定忠治の刀を振るう。遠距離で爆発した。
「あそこだ!」
「よしブー!」
ブー太郎が水の石の能力を発動する。水攻めにするつもりだった。しかし、再び爆発が起きる。何と水が逆流した。
「な、逆流したブー!」
大波がかよ子達を襲う。羽根の結界が発動された。何とか守りきれたが、水は収まらない。
「なら、こいつで吸ってやる!」
大野が草の石を発動させた。木々が現れ、水を吸収させる。しかし、吸収した木はすぐに枯れてしまった。
「な、これはどういう事だ!?」
「毒だ!水に毒を流し込んで逆流させたのだ!」
次郎長が説明した。
「その通りだ。さそりのような強力な毒を使う我々だからこそできる攻撃なのだ」
敵がいつの間にか接近して来ていた。彼らが履いている靴は普通の靴と異なり、飛行機のように飛べるようになっていた。
「あ、貴方達は・・・!?」
かよ子は聞く。関根も続いて言う。
「お前ら、この世界の人間じゃないな!」
「も、もしかして、赤軍!?」
「いいや、俺達は東アジア反日武装戦線。その中の組織『さそり』だ!」
「東アジア反日武装戦線だと!?」
椎名も関根も警察として見過ごせない相手であった。何しろ東アジア反日武装戦線は東京都内の数々のビルを爆破する事件を起こしているからである。
「そうだ。俺はその一人、黒川芳正だ!」
「同じく宇賀神寿一」
「同じく桐島聡」
「貴様らが…。逮捕させて貰う!」
「へん、サツもいるのか」
「なら、攻撃開始だな!」
組織「さそり」の攻撃が始まった。桐島が手榴弾のような物を空中に投げた。爆発し、煙が出る。
「毒の煙だ!山田かよ子、結界で守り抜け!」
「うん!」
羽根の結界が働いた。毒煙が防がれる。
「結界か・・・。なら、これだ!」
黒川は銃を取り出し、羽根に向けて発射した。
「バカだねえ~、結界だから聞くわけないじゃん」
「本当じゃ。結界は何でも守ってしまうからのう」
まる子と友蔵は呑気に行った。しかし、緑色の光が消えた。
「え・・・!?壊された!?」
かよ子達は仏法による強力な結界が破られてしまった事で焦った。
「それが杖か!貰うぞ!」
宇賀神が靴の飛行能力を利用して接近して来る。
「ひい・・・」
かよ子は恐ろしさで羽根から落ちてしまった。
「あ・・・!ああ!!」
この羽根の下は毒の水が溢れている。もう駄目かとかよ子は絶望する。
「はは、とんだしくじりをしてくれた!杖を貰おうか!」
宇賀神がかよ子に近づいて来た。
(やられる・・・!?)
後書き
次回は・・・
「金を狙う侵略者」
羽根から落ちてしまったかよ子は宇賀神に接近される。杖は盗られてしまうのか。そして玲衣子の仲間を助ける為に動くさり達は彼女の仲間を襲った敵と交戦するのだが・・・!?
ページ上へ戻る