おっちょこちょいのかよちゃん
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
173 黒手組の長の力
前書き
《前回》
戦争主義の世界の本部へと向かう剣奪還班は黒手組なる組織の襲撃を受ける。彼らと交戦し、次々と敵を葬り去る三河口達であったが、最後に残ったリーダーの男・アピスが何と牛の姿に変化し・・・!?
黒手組のリーダー・アピスが牛の姿に変化した。
「なんや、ただの牛かいな」
「でも、禍々しい気配感じるわ」
牛になったアピスが黒い煙幕を吐いた。
「み、見えねえ!」
「これは・・・?」
三河口や奏子などは武装の能力で煙幕を回避した。
「だめだ、煙幕が途切れねえ」
政美が探知能力を使う。
「え?まだ機械の能力が働いている・・・?しかも三つ持っている!!」
「そうさ、別の機械がそれぞれ守り合っている。だから私の機械は壊れずに済んだのだ」
「な・・・?俺の電脳の矛が効かなかったのか!?」
「貴様ら、この闇の中で地獄に連れて行かれるがよい・・・!!」
皆は意識を失いかけた。機械の威圧の能力が働いているからである。
(やら、れて、たまるか・・・!!)
三河口は執念で耐えようとした。
赤軍のリーダー・重信房子は和光晴生と会っていた。
「房子様」
「晴生、どうしたの?」
「レーニン様を再び動けるように手伝ってくれる人を連れてきました」
「大丈夫なのかしら?」
「ええ、こちらに寝返ってくれましたからね」
「ならいいでしょう」
そして和光が連れて来た一人の少年を見た。
「貴方は・・・!?」
戦争主義の世界の本部。レーニンは偽物の杖、護符、杯の影響で動けないままだった。
「レーニン様」
赤軍のメンバー・和光晴生が入って来た。
「何、だ・・・?」
「貴方に力を貸してくれる人を連れてきました」
入って来たのは一人の少年だった。
「こんな、小童が、私の、代わりになる、と、いうのか・・・?」
「はい、名前は杉山さとしと言います」
「そうか、杉山さとし。私に触れるが良い」
少年はレーニンに触れる。そして、レーニンが動き出し、杉山を取り込んだ。「杉山さとし」と「レーニン」は今、同じ体となり、レーニンは再び動けるようになった。
アピスは牛の姿になり、吐息として吐いた煙幕で皆を閉じ込め、そのまま殺めるつもりだった。
「終わりだ・・・」
しかし、煙幕が消された。周囲に水が溢れる。
「な、何だ!?」
斧の姿が見えた。湘木だった。
「お前の煙幕はこの斧の水の力で消したぜ」
「こやつ・・・!!」
「それだけじゃないわ。皆それぞれが持つ異能の能力が合わさって発動して防ぎきったのよ」
「この・・・。もっと成敗してくれる!」
アピスが飛びかかる。三河口はすぐ様考える。
(俺の威圧の能力なら抑えられるかもしれんが、奴の機械は三つ。つまり三人分、三倍の力が出る。防げるか・・・?)
三河口は威圧の能力を発動した。
「む、そこの男、それで私を殺せると思っているのか・・・。私は神の力を使っているのだ!!」
その時、三河口とアピスで睨み合った。
(この小僧・・・!!)
アピスもこの男が只者でないと感じていた。一方の三河口も己の能力行使に膨大な負担が来ていると感じていた。
「光江ちゃん、健ちゃんに加勢して!」
「はい!」
ゆりの指示で光江が御守を使う。光江の持つ威圧の能力が御守に流し込まれ、アピスを迎え撃つ。
「・・・な!」
機械が正常に作動しなくなった。だが、同時に三河口、光江、アピス、皆能力が使えない状態となる。
「濃藤君、今よ!」
「はい!」
濃藤が運命の剣を発動させる。アピスの姿が人間に戻り、更に機械が破壊される。濃藤が高速でアピスに剣で串刺しにした。
「こいつ・・・!」
アピスは貫かれた事が致命傷となったようで、その場で光となって消滅した。
「濃藤、やったな」
「ああ」
だが濃藤は高速で動けたのは自分自身ではなく剣がそうさせた事を振り返った。
「政美ちゃん、まだ敵はいる?」
ゆりが政美に確認した。
「いいや、一人もいません」
「それじゃ、もう先へ行きましょう」
皆は奏子の羽衣に乗って飛び立った。目的は敵の本拠地に乗り込み、異世界の剣を取り返す事である。
起き上がったレーニンはとある部屋に行き、モニターのような物で周囲の状況を確認する。
「何と、我等の領土が次々と奪われている!重信房子、これはどういう事だ!?」
「はい、あの杖、護符、杯は我々がここに来るまで偽物となるのが判明しない仕組みとなっていたのです。それで私は『自分の世界』に行って略奪を図ったのですが・・・」
「それで?」
「平和の世界の女に既に本物もこの世界にないと言われました。そしてその持ち主も他の能力者達と共にこの世界で戦っているとの事です」
「なぬ!?」
「それに聞いた話では幾人かが敵の世界の人間と協力して領土を奪っているとか。そして幾人かは倒されております。その中にはその持ち主の三人も含まれているとの事です」
「こちらも早く体制を整え直すべきだ。赤軍や反日武装戦線の奴等も戦わせろ!」
「はい、今向かわせております」
レーニンは確認する。その時、房子が持っている通信用の機械がなる。
「はい、こちら重信」
『こちら。黒川芳正。今、杖の持ち主の所に接近しています』
「宜しい。奪いなさい」
『了解』
通信が切れた。
「杖か・・・。一度入鹿が手にしたが取り返されたとか聞く。そして残る蘇我氏は全滅したそうだな」
「はい、これも杖の持ち主の仕業です」
「それから、貴様らが造った機械の元となった男がいる集団もこっちに近づいて来ている」
「彼らの目的は剣を取り返す事でしょう」
「そうか」
その時、声が変わった。
「レーニン様?」
「また会えるのか・・・。俺は絶対に大将になってやるって言ってやりてえな」
その声は同化した少年の声だった。
「は?」
「構わぬ。同化している少年の意志がまだ動いておるのだ。その男の集団も黒手組を壊滅させてくれたものだ。ヴィクトリア女帝にも危険を知らせねばなるまい」
かよ子達は趙姫を倒した後、疲弊していた。
「やれやれ、次々に襲って来やがって」
大野ですら疲れを見せていた。
「儂もヘトヘトじゃ」
友蔵も寿命が縮まる思いだった。しかし、当の本人は特に何もしていないのだが。その時、通信道具が鳴った。
『藤木茂君救出班の皆様、かなり疲弊しておりますと思います。昼食の休憩となさってください』
「あ、ありがとうございます」
皆の元にハンバーガーとフライドポテト、そしてオレンジジュースが現れた。
「ほう、これは確かアメリカでよく食べられていると聞く」
次郎長はハンバーガーを見て珍しく思った。
「親分、これはまさに美味です!肉とこのぱんに野菜が一気に食べられるとは!」
小政が早速伝えた。
「ほう」
皆も食べる。
「美味しいねえ~。アタシゃこういうの食べたかったんだよお~」
「まさに美味い!」
まる子と友蔵はハンバーガーとフライドポテトを美味しそうに頬張った。かよ子はハンバーガーを食べると、挟んでいるハンバーグを落としてしまった。
「ああ・・・」
かよ子はハンカチで拭こうとした。
「大丈夫よ、かよちゃん」
のり子の人形・キャロラインが喋った。キャロラインの念力で落ちたハンバーグが消え、かよ子のスカートについた汚れも落ちた。
「ありがとう、キャロライン」
そして藤木救出班は一時の休憩をするのだった。
ヴィクトリア女帝の屋敷。女王近々に連絡が来た。
「こちらヴィクトリア」
『こちらレーニン』
「レーニン殿!?無事だったの!?」
『ああ、こちら本部に剣を取り返そうとする愚か者どもが近づいて来ている。周囲に援軍を寄越して固めてくれ』
「分かったわ。杖や杯の持ち主はどうするの?」
『それはこちら赤軍や反日武装戦線の連中に応援に行かせる。気にするな』
「了解」
ヴィクトリア女帝は早速側近を収集した。
「剣を取り返す輩が近づいて来ていると聞いた。なるべく本部の周囲を固めよ。そして、クイーン・ベスにも気をつけるのだ」
「了解しました」
ヴィクトリア女帝は別の女王に敵意を向ける。
(もう滅ぼせるわ・・・)
後書き
次回は・・・
「組織『さそり』の襲来」
さりは本部守備を担当していた福岡の少女を救助し、彼女の仲間の救助及び援護へと急ぐ。そしてかよ子はある夢を見る。その謎の夢から覚めた後、ある過激派達とぶつかる事に・・・!!
ページ上へ戻る