チャーチルと日本
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第三章
「ここはな」
「議会に従いますね」
「アメリカもそうしているしな」
「アメリカの方が露骨ですね」
「あの国は参戦を考えている」
イギリスはドイツと交戦中だ、その戦争にだ。
「だからドイツの同盟国である日本とだ」
「開戦を狙っていて」
「色々している、我々としてはアメリカが加わってくれるだけでいいが」
「世論が戦争を望んでいません」
アメリカのそれはだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「日本を挑発している」
「だから余計に露骨ですね」
「我々よりもな、私としては日本は敵にしても」
ドイツの同盟国だ、敵の味方は敵ということだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「アメリカがドイツに宣戦布告してくれればそれでよく」
「日本にはですね」
「要求は飲んでもらうが」
イギリスが出すそれをだ。
「それは言ったままでなくていいのだ」
「妥協点を見出すものです」
「こちらが捻じ伏せつつもな、一方的に言ってそれを飲んでもらうと」
「かえって困りますね」
「そうだ、だが議会も世論も強気になるなら」
日本に対してそうなるならというのだ。
「私はよりだ」
「日本に対して強く言いますね」
「これまで以上に無理なことを言おう」
それを承知のうえでだ、それでだった。
実際に議会や世論が日本にこれまで以上の要求をすべきだと言い出してチャーチルもそれに従った、この時彼は言った。
「ここまで無茶なら飲めないと言ってな」
「交渉に入りますね」
「そうなる、そしてここでな」
「交渉しますね」
「そうする、これでやっとだ」
チャーチルはやれやれという顔になって述べた。
「日本と外交が出来る」
「いいことですね」
「さて、どう国益を引き出すか」
チャーチルは日本との交渉がはじまることを期待した、だが数日後。
チャーチルに外務省の高官が血相を変えて言ってきた。
「急に怒ってきました」
「何っ、交渉に乗るんじゃないのか」
「私も今度ばかりはと思いましたが」
「それがか」
「これまで笑っていたのに急に別人みたいに怒りだしました」
「怒るならもう最初に怒っているだろう」
チャーチルは完全に訳がわからないという顔で述べた。
「こっちもだ」
「無茶苦茶言ってきましたし」
「最初の時点でな。強気の私ですらだ」
「これはかなりという位の要求でしたね」
「それを最初から出していた」
「もう他の国なら」
「その時点で怒っていた」
そうだったというのだ。
「それが今になってだ」
「もう信じられない位怒っています」
「どういうことなんだ」
さしものチャーチルも唖然となっていた。
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