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ダンスダンスダンス

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第三章

 その勉強もしていった、題目の一つ一つをだ。
 真剣に勉強してダンスに活かした、それは教室でも同じで。 
 基礎訓練も欠かさずしながら踊っていると先生に言われた。
「三石さん題目も勉強しているわね」
「本を読み返して映像も観ています」
 瑞希は先生に答えた、教室でのレッスンの時は動きやすいジャージ姿であるがジャージは汗でかなり濡れている。
「そうもしています」
「いいことよ、努力をすれば」
「それがですか」
「絶対に結果になるから」
 だからだというのだ。
「頑張ってね、結果はすぐに出なくても」
「それでもですか」
「やがて出るから。種は撒いてすぐに実らないわね」
「そうですね」
 瑞希もその通りだと頷いた。
「すぐには」
「桃栗三年柿八年でしょ」
「時間がかかるものですね」
「梨は十六年よ」
 先生はこうも言った。
「歳月がかかる場合もあるのよ」
「努力が実るには」
「ええ、けれどね」
 それでもというのだ。
「すぐには出なくてもね」
「絶対にですか」
「実るから、九十九パーセントの努力は」
 今度はエジソンの言葉だった。
「一パーセントの閃きがないと実らないというけれど」
「本当はそう言ったんですね、エジソンは」
「その閃きは努力の中で生まれるのよ」
「九十九パーセントのですか」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。
「まずはね」
「努力ですね」
「先生は一番いいと思った娘をプリマドンナに選ぶわ」
 それは実績や年齢ではない、その出来を見てだ。だから瑞希が選ばれることもロシアから来た彼女が選ばれることも他の娘が選ばれることもあるのだ。
「けれどね」
「それでもですか」
「努力は見るわ、努力をしていたら」
「それならですか」
「それは絶対に実るわ、だからね」
「それで、ですか」
「努力していってね」
 こう言ってだ、瑞希の努力をよしとした。だが。
 瑞希は相手の娘にやはり劣勢であった、彼女が主役に選ばれる方がどうしても多かった。しかしそれでもだった。
 腐らずにダンスを続けた、そして勉強も。それは高校を卒業するまで続きそれで卒業する時にクラスメイト達に言った。
「結局あの娘にはね」
「勝てなかったの」
「あの娘の方が凄かったの」
「そうだったの」
「ええ、けれどね」
 それでもとだ、瑞希は友人達に卒業証書が入った筒を手に話した。
「大学はね」
「そうそう、芸術学部ね」
「そこに推薦貰ったわね」
「それもダンス科に」
「バレエもある」
「そこになったしロシアに留学の話も言われてるから」
 入学前に既にというのだ。
「これからもバレエが出来るし」
「勉強も出来る」
「だからいいのね」
「そうなのね」
「ええ、あの娘も芸術学部に入学するかも知れないけれど」
 ライバルである彼女もというのだ。 
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