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レーヴァティン

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第二百二十五話 江戸城に兵をその九

「厚い、寒さだけでなくな」
「刃も防ぐでござる」
「そうもしているからな」
 それ故にというのだ。
「かなりだ」
「守りがいいでござる」
「しかも槍は長く鉄砲も弓矢も多い」
「大砲まで揃え」
「奥羽の多少の勢力ではな」
「敵うものではないでござる」
「その姿を見せてな」
 そうしてというのだ。
「戦っても勝てないと思い知らせる、そしてな」
「奥羽の国人や大名に使者を送るでござるな」
「降る様にな、降ればな」
「そのまま幕府に入れるでござる」
「碌も土地も命もそのままだ」
 一切手出しをしないというのだ。
「それならばだ」
「これまで通りこぞって降るでござるな」
「そうなる、そして降らない者をだ」
「攻めるでござる」
「そうする」
 英雄は淡々と述べた。
「その様にな、ではな」
「これより全員で水戸城に入り」
「出陣だ」
 仲間達に一言で告げた。
「それに入る」
「では水軍もだな」
 その水軍を率いる幸正が言って来た。
「動かすな」
「そうする」
 その彼等もというのだ。
「そして沿岸からもな」
「攻めていくな」
「奥羽の主な港を手に入れていき」
「そこを抑えていきな」
「兵を進め」 
 港からもというのだ。
「勢力を拡大していく」
「その様にするな」
「奥羽は広い、陸からでなくて」
「湖からも攻めてだな」
「勢力を拡大させる、ただ雪で覆われて入れない港はだ」
「入らないな」
「そこは仕方がない」
 それならばというのだ。
「だからな」
「そうした港は放っておき」
「入られる港をだ」
 それだけをというのだ。
「抑えていく」
「そうしてだな」
「奥羽の大名や国人達の富を奪う」
 その様にするというのだ。
「一時的にもな」
「降ればその利益に戻すな」
「主のな、しかしな」
「一時的でも富を奪うとな」
「それだけ圧迫出来る」
 港を持っている勢力をというのだ。
「だからな」
「その様に進めていくな」
「そうだ、ではそちらを頼む」
「奥羽全体の港をだな」
「狙え、そして補給はな」
「湖からだな」
「船を使ってだ」
 そのうえでというのだ。
「してもらう、また陸からも軍勢を進めてだ」
「その軍勢が港に入るとな」
「そこからも補給を行う」
「そうしてさらに兵を進めていくな」
「そうする、陸からよりも多くのものを迅速に運べるからな」
 船を使えばというのだ、陸路からならば夜は休まねばならない。だが船は常に進むことが出来るのだ。そこが利点の一つだ。
「それでだ」
「ではそのこともな」
「宜しく頼む」
「それではな」
「凍らない港は手に入れていく」 
 峰夫も言ってきた。
「そうしていけばでありますな」
「そうだ、凍っていて入られないならな」
「仕方ないでありますな」
「相手も使えないからな」 
「雪が深くとも」
「そうした港はいい」
 全く、というのだ。 
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