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レーヴァティン

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第二百二十五話 江戸城に兵をその八

「いいな」
「それじゃあね」
「準備が整うのを待とう」
 今はと言ってそうしてだった。
 英雄は仲間達と共に全ての準備が整ったとの報を待った、そして。
 遂にそれが来た、ここで彼は言った。
「ではな」
「出陣ですね」
「皆準備はいいな」
「はい」
 謙二が十二人を代表して答えた。
「何時でもです」
「ならだ」
「これよりですね」
「全員水戸城に転移の術で移動してな」
 瞬時にそうしてというのだ。
「軍を率いてな」
「出陣ですね」
「そうする、そしてだ」
「奥羽に兵を進める」
「出陣は静かにするのではなく」 
 そうではなくというのだ。
「大々的にだ」
「その出陣を見せますね」
「奥羽の者達にもな」
「大軍の堂々たるそれを」
「多くのものもな」
 それもというのだ。
「見せる、奥羽の諸勢力の密偵達は水戸にも多く来ているな」
「江戸にも」
「そうだな、あえて連中を泳がしているが」
「それは大軍を見せる為にでしたね」
「自分達ではどうしても勝てないだけのものをな」
 それだけの大軍そしてその大軍を支える物資をだ、英雄は彼等を泳がせてそれで見せているのである。
「そうしていたが」
「ここで、ですね」
「俺達も出陣する、そしてだ」
「大軍が遂に動いた」
「それを見せる、また飯を炊いても」 
 英雄はその時のことも話した。
「竈や煙の数もな」
「見せますね」
「幕府の軍がどれだけ多いか、飯の多さもな」 
 これもというのだ。
「見せる、また武具もだ」
「密偵達に見せますね」
「全てな、兵達の武具も整えた」  
 足軽達のそれもというのだ。
「ただ身に着けている訳ではない」
「質がいいです」
「非常にな、動きやすくかつ堅固でだ」
「身体のあらゆる部分を守っています」
「そうした武具をな」
 これをというのだ。
「これまでも見せていたが」
「実際に誰もが身に着けている姿をですね」
「見せる」
「幕府の武具でござるが」 
 智がこちらの話をした。
「足軽は奥羽では胴と陣笠は備えるでござるが」
「脛や小手はな」
「粗末でござる」
「そして草履もな」
「弱いでござる」
「だか幕府は違う、脛も小手も質がよく」
「肩も守っているでござる」
 こちらもというのだ。
「そして奥羽なので」
「草履ではなくな」
「藁沓にしたでござる」
「そして下履きもな」 
 これもというのだ。 
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