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イベリス

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第二十六話 部活ではその十一

「まあ漱石さんもかなりだったけれど」
「留学してるし」
「松山に先生として赴任した時高給だったり」
「基本お仕事に困らない位だったのよね」
「そう、やっぱりエリートだけあってね」
「引く手あまた?」
「そう言っていい位にはね」
 それ位にはというのだ。
「私の知る限りだとね」
「困ってなかったの」
「そうみたいよ」
「そうだったのね」
「けれどやっぱりね」
「鴎外さんと比べたら」
「社会的地位は全く違ったわ」
 こう咲に話した。
「人間としてはどうかでも」
「というかかなり酷くても」
「それでお医者さんとしての実績が駄目駄目でも」
 肝心のそれさえもマイナスでもというのだ。
「けれどね」
「地位はあったのね」
「そのことは事実よ、けれどね」
「作品はよくても」
「人間としてはよ、私あの人は駄目よ」
 森鴎外はというのだ。
「お付き合い出来ないわ」
「そうなのね」
「もっと言えば夏目漱石もね」
「DVだとね」
「アウトでしょ」
「何があっても」
 それこそとだ、咲も答えた。
「私にしてもね」
「そう思うのが普通よ」
「今だとね」
「奥さんや子供に暴力振るうなんて」
「最低だからね」
 咲は言い切った。
「今だと本当に夏目漱石さんは」
「アウトの人だったわ」
「どう考えてもそうね」
「ヒス起こして息子さんステッキで殴り回したそうだし」
「確実に児童相談所案件ね」
 咲の目は漱石のその話に完全に冷めたものになった。
「それって」
「今だとね」
「まあ何もしてない児童相談所もあるけれどね」
「虐待の話が来ても動かなくてね」
 それでというのだ。
「大変なことになるとか」
「本当にあるわね」
「それで漱石さんもね」
「そうした親御さんだったのね」
「そうみたいよ」
「イメージ狂うわね」
「作家さんそうしたこと調べると面白いのよ」
 同級生は咲に笑って話した。 
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