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第二章

 ボブは保護されて獣医に診てもらってだった。
 手当てを受けてちゃんとご飯や水を貰ってだった。
 健康を取り戻した、そのうえで。
 新しい飼い主を募集した、SNSでも広くそうすると。
 アンドリム州に住む穏やかな顔立ちの若い夫婦が施設に来た、そうしてシルヴィア達に言ってきた。
「お話は聞きました」
「SNSを見させてもらいました」
「そうさせてもらいまして」
「それで、ですが」
「不幸な目に遭った子です」
 シルヴィアは夫婦に話した。
「ですから」
「はい、幸せにですね」
「してあげることですね」
「そうして下さい」
 夫婦の手を取る様にして話した。
「きっと」
「そうさせてもらいます」
「必ず」
 夫婦も約束した、そうしてだった。
 彼等はボブを引き取った、そして暫くして。
 施設に夫婦からメールが来た、メールには動画が添えられていて。
 そこにはボブが夫婦と一緒にいた、そこにいるボブはとても幸せそうに家の中を歩き回りご飯を食べて寝ていた。
 その彼を見てだ、シルヴィアは同僚達に微笑んで話した。
「このままずっとですね」
「うん、ボブは幸せだな」
「心ある人達の家族に迎えられたから」
「もう大丈夫だな」
「家を失うことはないぞ」
「そうですね、これは神様のご加護ですね」
 シルヴィアはこうも思った。
「可哀想な目に遭っても」
「神様が助けてくれる」
「幸せを授けてくれるな」
「必ずね」
「そうなりますね、このまま幸あらんことを」
 シルヴィアは神に祈った、今のボブの幸せを喜ぶと共に。そうして動画の中の如何にも幸せそうな彼を見続けるのだった。


メモと一緒に   完


                  2021・10・25 
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