恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百十話 八神、都に来るのことその七
「そうした意味での暴力はだ」
「好まないのだな」
「八神の拳は殺人拳だ。人を殺す為だけにある」
「そしてその拳はか」
「俺に喧嘩を売る愚か者に京に対してのものだ」
「成程な。御主という人間はおおよそわかった」
関羽もだ。鋭い目になり八神を見ながら言う。
「好きにはなれぬが信念はあるな」
「俺を嫌おうとも認めずともそれはどうでもいい」
「それもいいのか」
「それだけだ。ではだ」
八神はゆっくりと前に出て。そうして。
関羽にだ。今度は自分から言った。その言葉は。
「金だが」
「あるのか?」
「俺にはこれがある」
何処からかだ。楽器、それも彼の世界のギターを出して言った。
「これと歌で金を稼いでいる」
「では飯はか」
「俺の食い扶持はある。余計な気遣いは無用だ」
「わかった。ではそれもしない」
「俺は俺で動く」
あくまでそうするというのだ。
「それだけだ」
「わかった。ところでだ」
「何だ、今度は」
「御主の好きな食べものは何だ」
ふとだ。このことを尋ねたのである。
「それを聞きたいが」
「肉だ」
八神はすぐにこう答えた。
「肉が好きだ」
「そうか。肉が好きか」
「京は焼き魚だったな」
「そうだ。よく食べている」
「だが俺は肉だ」
「生肉ではないな」
ふとだ。八神の野生を見てだ。関羽は尋ねた。
「やはり焼くか」
「生なら刺身で食う」
「それか。日本の料理だったな」
「確か中国、漢でもあった筈だが」
「あることはあるがだ」
「それ程よく食われてはいないか」
「そうだ。あまりな」
「それもわかった。それではだ」
こう話してだった。八神は自分のギターで金を稼ぎそのうえで飯を食い宿を取っていた。そのうえで己の出陣の時を待つのだった。
その彼のことは草薙も聞いていた。その彼にだ。
二階堂と大門がだ。深刻な顔で言うのだった。
「おい、まさかと思うけれどな」
「ここで闘うつもりか」
「向こうがそのつもりならな」
こう限定して返す草薙だった。彼等は今は天幕の中で飯を食っている。出陣の準備の中でだ。今はそこで休んでいるのである。
三人と真吾がいる。その四人で話しているのだ。
その中でだ。草薙はこう言ったのである。
「やるさ」
「その場合はか」
「逆に言えばあ奴が何もしなければか」
「ああ。俺は戦わないさ」
そうするというのだ。
「俺もあいつもな。今はな」
「オロチやネスツの方が先だな」
「倒すのは」
「そういうことだ。まずはあいつ等だ」
草薙は真剣な顔で言った。
「絶対に封じるさ」
「じゃあ俺達もな」
「既に決めている通りだ」
「その御前に協力するぜ」
「これもまた運命だ」
「運命、そうだな」
草薙は二人、とりわけここでは大門の言葉に頷いて。そうしてだった。
こうだ。こうも言ったのだ。
「これは運命だな」
「オロチと闘うことがだな」
「そして封じることが」
「ああ、そうさ」
まさにその通りだとだ。草薙は言うのだった。
「あとネスツの奴等もな」
「あの連中はケイダッシュ達がやるみたいだな」
「だから我等はだ」
「オロチに専念できますね」
真吾が笑って草薙に話す。
ページ上へ戻る