恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十話 八神、都に来るのことその二
「だから。いっそのことね」
「どうすればいいんだ、私が目立つには」
「言うことを全部ふがふがとかにするとか」
馬岱はいきなり話のハードルを上げた。
「包丁持って暴れ回るとか」
「おい、包丁とは何だ」
「それか弟さんを溺愛に走るとか」
「どれも変態ではないのか?」
「というか全部心当たりあるでしょ」
「残念だがある」
公孫賛もそのことを否定しない。
「というかそれを言えばきりがないぞ」
「まあそうだけれどね」
「他にはないのか?特に包丁は止めたい」
「けれどもう代名詞になってるじゃない」
「私のか」
「というか中身と」
そちらでだ。そうなっているというのだ。
「そっちだったら張角さんとも一緒になってもね」
「ううむ、結局私は何なのだ」
公孫賛は困った顔で腕を組んで言った。
「何かこう目立ちたいのだが」
「だから包丁持てば」
「ううむ、それに頼るしかないのか」
「張角さんはそれ言ったら中に誰もいませんよがあるけれどね」
「そっちの方が目立たないか?」
「確実に目立つわね」
二人で組んでもだ。それでもだった。
相手の方が目立つ。結果としてそうだった。
それでだった。公孫賛は言うのだった。
「ううむ。困ったことだ」
「一人でもいいから出たら?」
「やはりあの張角には勝てないか」
「無理でしょ」
実際にそうだとだ。馬岱は容赦なく返す。
「蒲公英だってあんたのこと知らなかったし」
「そこで知らなかったというのか」
「だって。記憶にあったから忘れたって言うんじゃない」
馬岱はそのことも指摘する。
「最初から知らない場合はよ」
「知らない、ということか」
「そういうことよ。とは言っても蒲公英もね」
「出るのか?御主は」
「多分出ないわ」
馬岱はそうするというのだ。
「だって。歌ないから」
「そうか。だからか」
「何なら二人で隠し芸でもする?中に誰もいませんよ、って」
「だからそれは張角だろう?それにあれは」
公孫賛は馬岱に話しながらその顔を急に曇らせる。
そしてだ。こう言うのだった。
「私が腹を割かれるではないか」
「もう黒い血をどばって吹き出してね」
「そうだ。目が白目になってだ」
まさに人が死ぬその一部始終である。
「死ぬではないか」
「あれねえ。無修正だと凄いから」
「黒が赤になってだな」
「どう?やってみる?」
「断る」
公孫賛の反論は一つだった。
「絶対にだ」
「やれやれ。そこを勇気を出してよ」
「勇気を出して断る」
自分が死ぬ話だからだ。こう言うのも当然だった。
「とにかくだ。私はどうしてもか」
「目立てないわね、正直」
「せちがらい話だ」
「やっぱり目立つには命を賭けないと」
「命を賭けても目立てないのだが」
「それはもうどうしようもないわね」
そんな話をしてだった。結局だ。
公孫賛は出られなかった。ついでに言えば誰もこのことに気付かない。
その頃袁紹はというと。また何かをしでかそうとしていた。
そうしてだ。辛姉妹に相談するのだった。
「思いつきましたわ」
「またですか」
「思いつかれたんですか」
それを言われてだ。姉妹は瞬時に暗い顔になった。
そしてだ。こう主に言ったのだった。
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