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イベリス

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第二十五話 アルバイトもしてその十二

「だから参考にはね」
「ならないわね」
「宇宙人って言われてたけれど」
「物凄く独特の人よね」
「野村さんも驚いていたし」
 阪神の監督であった頃のことだ。
「妙に波長が合ったらしいけれど」
「仲はよかったみたいね」
「悪い人じゃないと思うから、けれどね」
「あの人はまた別っていうのね」
「ぶっ飛び過ぎだから」
 幾ら何でもというのだ。
「参考にはね」
「ならないわね、お母さんもそう思うわ」
「あと二百万で税金とか生活費とかどうするのよ」
「全く考えてなかったのでしょうね」
「有り得ないから。けれど」
 咲はあらためて述べた。
「そうした人達もなのね」
「日本は実はお金持ちからも税金取る国よ」
「優遇しないの」
「もう必死に節税しても」
 それでもというのだ。
「最後の最後はね」
「納めることになるの」
「そうしたお国柄だから」
「漫画とか小説で当ててもなのね」
「いい暮らしは出来ても」
 それが適うことは事実だが、というのだ。
「税金取られるわ、それでプロ野球選手で年棒五億になってもね」
「もう大スターね」
「けれど変な使い方したら」
「なくなるのね」
「遊んでばかりだとね」
 その場合はというと。
「お金は寂しがり屋だから」
「なくなるのね」
「それでわしが稼いだ金何処行ったって言うことになるわ」
「いや、自分が散財したんでしょ」
 その稼いだ金をとだ、咲は即刻言葉で切り捨てた。
「そうでしょ」
「その通りよ、そうなったらね」
 それこそというのだ。
「後悔先に立たずよ」
「本当にそうね」
「だから無駄遣いはしない、ギャンブルとかホストクラブとか」
「ホストって何が面白いの?」
「さあ」 
 母も首を傾げさせて返事をした。
「何がかしらね」
「お父さんもキャバレーとか行かないわね」
「お父さんは飲んで食べるのが好きでね」
「それでなのね」
「女の人と一緒に飲んだりしないの」
「じゃあ銀座も行かないの」
「全くね、というか銀座のお寿司屋さんとかあるでしょ」
 そうした店の話もするのだった。
「わかるでしょ」
「滅茶苦茶高いのよね」
「驚く位ね、銀座なんてね」
「私達には縁がないわね」
「なくていいの。それでお母さんもホストクラブのよさわからないし」
「何がいいのかしらね」
「持て囃されるのがいいみたいだけれど」
 それが楽しいというのだ。
「けれど高いお酒空けたりね、貢いだり」
「そうしたことしても」
「自分に返って来ないわよ」
「そうよね」
「お金使うにしても」
 それでもというのだ。
「自分に返って来るならね」
「いいのね」
「けれどギャンブルもホストクラブもね」
「返って来なくて」
「使えば使うだけね」
 それこそというのだ。 
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