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イベリス

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第二十五話 アルバイトもしてその四

「それになります」
「占ってみても」
「やはり浅ましいとです」
「そうした結果にしかならないんですね」
「そうかと」
「私もそうならない様にします」
 咲は速水に言われ心から思い言った。
「本当に」
「その心掛けが大事です、ああはなるまい」
「反面教師を見てですね」
「そう思うこともまたです」
「よくなることですね」
「お手本を見ることもいいですが」
「反面教師もですね」
 その犬のかつての飼い主達のことを思いつつ速水に応えた。
「見ることですね」
「そういうことなのです、私もお手本の方がいて」
「反面教師もですか」
「います、自分はなりたくないですがね」
 咲にここでは微笑んで述べた。
「ですがそうした人はいて」
「心掛けておられますか」
「左様です。では小山さんも」
「そうしていきます、そしてうちの娘を」
 モコ、自分から見れば妹になる彼女をというのだ。
「大事にしていきます」
「そうされて下さい」
「はい、それでなんですが」
 ここで咲は話題を変えた、今度の話題はというと。
「実は父が今度転勤するかも知れないです」
「そうなのですか」
「けれど何処に転勤するか心配みたいです」
 埼玉に行くことにならないかと心配していることは隠して話した。
「どうも」
「では占ってみますね」
「そうしてくれますか」
「はい、それでは」
 速水はこうした時の占いをした、大アルカナのカードを一枚出すものだ。そして出たカードはというと。
「皇帝の正ですね」
「いいカードですね」
「転勤先でしっかりした良いお仕事が出来そうですね」
 速水はカードを見つつ咲に答えた。
「いいことです」
「転勤先は」
「それが何処でもです」
「いいお仕事が出来ますか」
「カードはそう教えてくれています」
 引かれたそれはというのだ。
「ですから」
「安心していいですか」
「例え望まない転勤先でも」
「そうなんですね」
「リーダーシップも発揮出来そうですね」
「お父さん管理職です」
 咲は速水にこのことも話した。
「それだと」
「いいですね、まさにです」
「転勤してもですか」
「良いお仕事が出来るので」
 それでというのだ。
「どういった場所でも」
「安心してですね」
「しっかり励まれることです」
「それじゃあそう伝えます」
「はい、それでは今日も」
「働かせてもらいます」
 咲は笑顔で応えた、そうしてだった。
 早速働いていった、それは昼食を食べて休憩を挟んでも行われ夕方まで行われた。そして仕事が終わるとだ。
 交代で来た大学生の大人びた女性にこう言われた。
「お疲れ様」
「はい、それじゃあ」
「後は任せてね」
「宜しくお願いします」
「店長さんとお話したかしら」
 速水と、とだ。大学生は咲に笑って聞いて来た。
「そうしたかしら」
「お仕事前に少し」
 咲は正直に答えた。
「そうしました」
「それで占ってもらった?」
「お父さんのことも」
 このことも正直に話した。 
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