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イベリス

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第二十五話 アルバイトもしてその三

「なくしました、一人目の子が保護されたうえで」
「結局その人達は犬を飼う資格がなかったんですね」
「子供を育てる資格も」
 これもというのだ。
「そして禁治産者になりお酒に溺れ」
「破滅ですか」
「二人共廃墟同然の家で腐乱死体となり発見されたそうです」
「無残な末路ですね」
「外道の末路はこんなものです」
 速水の言葉はここでも冷たかった。
「所詮は」
「そうなるものですか」
「はい」 
 まさにというのだ。
「それが人の世の摂理です、そしてお話を戻しますがお散歩は」
「人にもよくて」
「ワンちゃんにもです」
「いいんですね」
「適度な運動で健康維持とストレスの発散になります」
「あと世の中を知って社交性も出来るので」
「ですから」
 そうしたメリットもあってというのだ。
「人も犬もです」
「身体を動かすべきですね」
「それがわかっていない犬の飼い主なぞ」
「最初から飼う資格はないですね」
「彼等はその犬も自分達の子供もおもちゃと思っていました」
 それに過ぎなかったというのだ。
「だから邪魔になるとです」
「ポイ、ですね」
「そして次のおもちゃが出来ますと」
「それで遊ぶだけだったんですね」
「こうした人達は死にますと」
 どうなるのかもだ、速水は話した。
「人には生まれ変わりません、勿論犬にもです」
「餓鬼になるんですね」
 愛との話を思い出しつつ言った。
「そうですね」
「あまりにも浅ましい輩が餓鬼になるのです」
 死んで餓鬼道に堕ちるというのだ。
「そうなるのです」
「そうですか」
「ですから」
「人間浅ましいことはですね」
「しないことです」 
 絶対にというのだ。
「餓鬼になりたくないなら」
「さっき塔のカードでしたよね」
「破滅ですね」
「餓鬼になるということは」
「そうです、人としてです」
 まさにというのだ。
「破滅することなのです」
「恐ろしいことですね」
「私もなりたくないです」
 速水自身もというのだ。
「人として」
「そうですよね」
「こうした人達を見れば」
 その時はというと。
「ああはなるまいです」
「そう思うことですね」
「浅ましい人、卑しい人、悪人はです」
「見るとですね」
「ああはなるまいです」
 その様にというのだ。
「思い反面教師にして」
「実際にそうしていくことですね」
「それが大事です」
「そういうことですね」
「さもないと先程のカードです」
「塔ですか」
「私は餓鬼になる様な人の末路は一つと考えています」
「塔ですか」
 咲も言った。
「それしかないですか」
「そうでなくとも逆です」 
 カードのそれだというのだ。 
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