FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
予想外の戦法
前書き
またまた間が空いてしまいました。
この数日はコンテストに向けた最後の追い込みで心も身体も疲労していたのですみませんm(__)m
今日からカーボアップに入ったおかげで頭が回り始めたので話を進めていきたいと思います!
しばらく進んでいくと、少しずつ道が細くなっているような気がする。恐らく道が入り組んでいる分、一つの道に掛けれる幅が足りなかったんだろうなと推測できる。
「この先を行けば城の敷地内に繋がってるところに出れるぜ」
「時間は」
「まだ少し余裕があるな」
作戦決行の時間までまだあるとのことで走る速度を調節する。他のグループも何事もなければ既に目的地周辺まで来ているだろうし、問題ないだろう。
「しかし、お前本当に国有数の魔導士なのか?」
「??どういうこと?」
まだ見た目のことを言っているのかと思ったが、どうやら違うようだ。ユウキさんは険しい表情を見せると、奥歯を噛んだ後、言葉を発する。
「あんな作戦・・・とてもじゃないが正気の沙汰とは思えない」
そういうことかと納得する。無理もない、今までの俺だったら確実にやらなかったであろう作戦。しかし、なぜだろうか。
「この作戦が一番最適だと思ったし、これしかないと思ったんだよ」
本当になんとなくだ。何か確信があったわけでもなければ今までに経験があったわけでもない。でも、この方法が何よりも最適だと思ってしまったのだ。
「正直・・・俺は不安だ。成功してもしなくても、大変なことになるだろうからな」
「大丈夫だよ。そのためにチームをこんなに分けてるんだろ?」
ニヤリと笑ってみせると彼は苦笑いを浮かべた。相当不安なんだろう、しかし、ここまで来たらやるしかないぞ。
第三者side
「皆さん!!もう少しですよ」
「時間も間に合ったわ」
ウェンディが率いるチームが目的の出口付近へと到達する。特にアクシデントもなく到着できたため、彼女たちはホッとした表情を浮かべていた。
「安心している暇はないわよ」
「そうだよ~、ここからが重要なんだから」
そんな面々を見てシャルルとセシリーが釘を刺す。その声で冷静さと緊張感を取り戻した彼女たちは、すぐに次の行動へと準備を移す。
「しかし、フィオーレの魔導士って怖いんだな」
「こんな作戦、俺らじゃ思い付かねぇよ」
準備をしながら至るところでそんな声が聞こえてくる。彼らも悪気はないからかウェンディたちに聞こえないようにと小声で話しているものの、滅竜魔導士特有の耳のよさがあるウェンディには聞こえてしまい、苦笑いを浮かべていた。
(私だってこんなこと思い付かないよ)
しかし、その声が言いたいことがわかるだけにウェンディも反論することができない。なぜなら、この作戦の提案者である少年の様子にいまだに疑問を抱いているからだ。
(あの時のシリルの表情・・・やっぱり気になる)
気になる点はあるのに、動くことができない。ここで彼女が離れれば作戦の成功率は大きく下がってしまうことは目に見えていた。それがわかっているからか、シャルルとセシリーも気が付かないフリを続けている。
「お?そろそろ時間みたいだな」
ウェンディの横にいた一人がそう言う。その声で我に返った彼女は集中力を取り戻そうと頭をブンブンと振った。
(今は考えても仕方ない!!とにかく私たちの任務を遂行しなくちゃ!!)
心のどこかでは不安を感じているものの、それを振り払うように彼女は深呼吸をした後、全員の方へと向き直る。
「皆さん、もうすぐ時間です。いつでもいけるように準備してください」
それに頷く面々。全員が忙しく準備を行いながら、妖精の三人は高まる鼓動を必死に抑えていた。
「誰も怪我人が出ないといいんだけど・・・」
「怪我ならまだいいわよ。もっとひどいことになりかねないからね」
「シリルの性格の悪さが出ちゃったよね~」
そんな不安を口にする三人。一通り話し終えた彼女たちも、仲間たちと同じように準備へと取り掛かった。
ここは街の中・・・そこでは至るところに国王の部隊が配置されており、住民たちは何事かと不安を感じ、足早に自宅へと戻っていた。
「これだけ固めていれば問題ないだろう」
「それに周りに人がいる気配もない。本当に全員が地下から攻撃に出てくるんだろうな」
国王であるバリーザウィッチは自分たちのリーダーではあるが、どれだけ優れたリーダーであってもその言葉を100%信じきるのは難しい。ましてや、ここにいるのは下端であるため、本当に地下からの攻撃にだけ備えていればいいのかと不安を抱いていた。
しかし、周囲にいる住民は皆無。皆が自分たちに恐れをなして自宅に入っているこの状況で、ようやく彼の言葉を信じることができたのだった。
「しかし、出入口付近に近づくなってのはどういうことだ?」
「あれだろ?蓋が開いた時に近くにいたらUターンされるからだろ?」
「だったら隠れてた方が確実じゃないか?」
彼らはバリーザウィッチの指示通り地下通路の出口から離れたところにいる。しかし、ある程度の距離を置いているだけでそこまで離れているわけでもなければ、何かに隠れているわけでもない。これも彼の指示らしいのだが、それではあえて距離を開けている意味がわからなくなってしまう。
「確かに・・・ここからじゃ開いた瞬間見えるもんな」
「だろ?だったら近くにいた方がすぐに相手を捕まえられるんじゃないか?」
「それはいい!!」
彼らとしてはそれは善意だった。この配置の意図を話さなかったバリーザウィッチにも非はあるのだろうが、彼らは上司がいないことをいいことに動いてしまった。それは彼らが下端であるがゆえに、手柄を立てたいという気持ちが先行してしまった証拠なのだろう。
カタッ
そんな彼らの思いが通じたのか、見張っていたその蓋がわずかに動く。それを見た瞬間、先頭で勝手に動いてしまった面々も、後ろでどうしようか迷っていた面々も一斉にそちらに視線が向く。
「来るぞ」コソッ
「これで捕まえられれば・・・」コソッ
その蓋が開きわずかにでも人の気配がしたらその瞬間に飛び付けば捕まえられる。そうすれば多少の作戦無視など帳消しにできる。彼らはそう考えていた。しかし・・・
ガタッ
「捕らえろ!!」
「「「「「オオッ!!」」」」」
扉が開いたと同時に人の手が見えたことで彼らは我先にと飛び掛かる。人ならば目先の手柄がすぐそこにあれば飛び付きたくなるのも無理はない。しかし・・・シリルはそれを読みきっていた。
ポイッ
見えたと思われた手には何かが握られていた。彼らはそれに気が付いていたが止まることはしなかった。いや、気持ちが先走っていた彼らにはそれができなかったといった方がいいかもしれない。
中の人から投じられた何か。それは飛び掛かったうちの一人に当たったかと思うと・・・
ドカァンッ
大きな音と共に火柱をあげて爆発した。
「やれやれ・・・命令通り距離を取っておけば死なずに済んだものを・・・」
バリーザウィッチは深いため息をつきながら、数ヵ所で上がる火柱を見つめていた。彼はわかっていたのだ、ユウキがレオンをティオスと勘違いし攻撃しようとした時に使った爆弾魔水晶。それを敵である自分たちに不意を突いて使ってくると。だからこそ、仲間の命を危険に晒さないために出口との距離を取らせていた。その言い付けを破った彼らのことを考えるだけ、無駄だとすぐに思考を切り替える。
「しかし・・・話に聞いていたのと違うな。天使の子はトドメもさせないほどの心優しき少年じゃなかったのか?」
眉間にシワを寄せ、首を傾げる。自分が聞いていた人物と同じ行動とは思えない戦法。それが気になってしまったがゆえに、作戦の詳細を話さなかったこともまた事実。
(まぁ、聞かれても答える気はさらさらなかったが)
そんなことを思いながら目を閉じる。そこに映るビジョンを見て、彼は不敵な笑みを浮かべた。
「だがいい・・・天使の子は天使の味方。私と彼は敵にはならないということだな」
そう言いながら彼は誰もいないその部屋で、王座へと腰掛けるのだった。
後書き
いかがだったでしょうか。
シリルの予想外の戦法がようやく出せました。
次からはもう少し早く出せるといいなと思ってはいます|ョω・`)ジカンガネ
ページ上へ戻る