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イベリス

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第二十四話 二人での楽しみその三

「どう?」
「じゃあカラオケで」
「歌うのね」
「そうするわ」
 咲は確かな声で答えた、そうしてだった。
 二人で歩行者天国からイタリア料理の店に入った、そこでジュースとスパゲティを注文したのだが。
 イカ墨のスパゲティをダブルで頼んで愛は咲に笑って言った。
「ダブルだからね」
「二人で食べてお腹一杯ね」
「そうなるわ。このお店のスパゲティはね」
「ダブルだとね」
「量が凄いからね」
「そのことでも有名よね」
「それで看板はトマトと大蒜のスパゲティだけれど」
 このメニューも話に出した。
「何といっても」
「このお店で一番有名なメニューね」
「けれどね」
「イカ墨もなのね」
「いいのよ」
「美味しいのね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「今回はね」
「イカ墨のスパゲティを注文したのね」
「そうなの、それに私イカ墨のスパゲティ好きだし」
 このこともあってというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「今回はそっちを注文したのよ」
「そうなのね」
「これが本当に美味しいから」
 だからだというのだ。
「一緒に食べましょう」
「私もイカ墨のスパゲティ好きよ」
 咲は愛に笑顔で応えた、二人で二人用の席に向かい合って座っている、そうして料理が来るまで話をしているのだ。
「美味しいわよね」
「あの真っ黒なのが食欲そそるわよね」
「スーパーでもソース売ってるしね」
「あれも美味しいわよね、それでね」
「このお店でもなのね」
「美味しいから」
 だからだというのだ。
「一緒にね」
「これから食べるのね」
「そうしましょう、ただお酒は」 
 こちらはというのだ。
「お外でしかもお昼だから」
「私まだ高校生だから」
「それに私もね」 
 愛もというのだ。
「お昼からはね」
「飲まないのね」
「ええ」
「そうするのね」
「お酒は夜飲むものでしょ」
 愛は強く言った。
「やっぱり」
「お昼から飲むものじゃないのね」
「お昼は働く時間でしょ」
「だからなのね」
「そう、休日でもね」
「お昼はなのね」
「飲まないものよ」
 こう咲に言うのだった。
「何かあるとすぐに行かないといけないから」
「お仕事に」
「だからね」
 それでというのだ。
「飲まないでいて」
「夜に飲むのね」
「日本ではそうよ」
「イタリアとかじゃ良くても」
「ここは日本よ」
 愛はそれは絶対とした。 
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