歪んだ世界の中で
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第十七話 冬の入り口その四
「ねえ。十二月になったけれど」
「冬だよね」
「ちょっと早いけれど冬休みになったらね」
「何かあるの?」
「クリスマス。何処に行く?」
微笑んでだ。希望は千春、自分の席に座っている彼の正面に笑顔で立っている彼女に尋ねた。
「千春ちゃんは何処に行きたいの?」
「クリスマスよね」
「うん、その時はね」
「イルミネーションかな」
神戸名物、その眩い光で飾っているそれを思い出してだ。千春は答えた。
「それ。行かない?」
「あっ、イルミネーションなんだ」
「うん。クリスマスだよね」
「そう、クリスマスにだよ」
一緒に行く場所、そこはだというのだ。
「クリスマスに相応しい場所だよね」
「そうだよね。それじゃあね」
「そこにしよう。あとは」
「あとは?」
「いや、こればかりはどうなるかわからないけれど」
それでもだとだ。希望は笑顔で千春にこの望みを話した。
「その時に。二人でイルミネーションを見てる時にね」
「その時に?」
「そう、雪が降ればいいよね」
千春に言われて見直そうとしているだ。それが降ればだというのだ。
「凄く絵になるよね」
「そうだよね。冬だからね」
「イルミネーションだけでも奇麗だけれど」
それに加えてだ。雪が降ればだというのだ。
「余計に奇麗だよね」
「希望もわかったかな。冬にはね」
「雪なんだね」
「そう。雪が降ると一番奇麗なんだよ」
「まだ。この目で見ていないから何も言えないけれど」
だがそれでもだとだ。希望は考える目になって千春に答えた。
「それでもね」
「見てみたいのね」
「そうなったよ。見たくなったよ」
千春にだ。希望は笑顔で話せた。
「冬だからね」
「じゃあ。一緒にイルミネーションに行こうね」
「そうしようね。けれどその前に」
クリスマスの前にやらないといけないことがあった。それは学生なら避けられないものだった。
そしてそのことについてだ。希望は今度は少し残念そうな顔になって述べた。
「テストがあるからね」
「期末テスト?」
「うん、それがね」
「そうだったね。テストあったよね」
「そっちも頑張らないよね」
休みの前のだ。この避けては通れないイベントをだというのだ。
「だからまずは」
「勉強するのね」
「勉強はね。毎日してるよ」
既にそうなっていた。彼はそちらも頑張っているのだ。
「けれどね。油断は禁物だから」
「テストで満足できる点を取って?」
「その方が冬休みも気分よく迎えられるよね」
「そうだよね。それじゃあね」
「僕まずは期末テストを頑張るよ」
「じゃあまた二人で勉強する?」
千春からだ。にこりとしてこのことを提案したのだった。
「そうする?」
「そうだね。それじゃあね」
「うん、じゃあね」
二人で言ってだ。そうしてだった。
テスト前に二人で一緒に勉強することも約束した。そのことについて希望はまた言った。
「僕今回は英語がね」
「グラマー?リーダー?」
「グラマーがちょっと自信がないんだ」
「じゃあね」
それならだとだ。千春はすぐに言ってきた。
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