成績優秀で
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第四章
「それは凄いですね」
「大学教授どころじゃないですよ」
「播磨中将閣下ですか」
「そう呼ばれてましたか」
「それでこれがな」
ここでだった、悪魔博士は。
一枚の写真を出した、そこには帝国海軍の夏の士官用軍服白い詰襟のそれと軍帽を被り姿勢よく立っている端正な青年がいた。
学生達はその青年を見てすぐに察した。
「教授ですよね」
「播磨教授ですよね」
「明らかに面影があります」
「お若い時ですか」
「海軍におられた時ですか」
「そうじゃ」
その通りだというのだ。
「経理学校を卒業したその時じゃ」
「滅茶苦茶恰好いいですね」
「恐ろしいまでに頭よさそうですね」
「これは出来ますね」
「俺達とはものが違います」
「兵学校にも負けておらんかったからな」
経理学校はというのだ。
「そこの首席だからのう」
「東大以上のエリート」
「将来は閣下間違いなし」
「そうですと」
「ちなみに昔は将官は直任官じゃ」
博士は学生達にこのことも話した。
「そうであった」
「あの、直任っていいますと」
「戦前ですから」
「ひょっとしなくても」
「大臣と同じで宮中にも出入りが許されてな」
そうしてというのだ。
「任命されるのはじゃ」
「天皇陛下ですね」
「陛下直々に任命ですか」
「それは凄いですね」
「そうなっておった」
播磨、彼はというのだ。
「世が世ならな」
「本当に凄いですね」
「冗談抜きに大学教授どころじゃないです」
「こうしたとこにいる人じゃなかったんですね」
「道理で出来る筈ですね」
「物凄いですね」
「ははは、海軍はそうであったということじゃ」
東大以上のエリート組織であったというのだ。
「あくまで昔であるがな」
「そして陸軍もですね」
「東大以上で」
「もっと凄かったんですね」
「選りすぐりの人材をさらに徹底的に鍛え上げておった」
そうだったというのだ。
「強かったのも道理であるな」
「そうですね、負けはしても」
「それなら強いのも道理ですね」
「あそこまでの人がいたんですから」
「当然のことですね」
「左様であるな、ちなみにわしは入られんかった」
博士は自分のことも話した。
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