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マザーキャット

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第三章

「ワンワン」
「ニャンニャン」
「ニャウン」
「ミャオン」
「ニャオン」
 四匹の子猫、三毛の雌猫二匹と黒白の雄猫とキジトラの雄猫合わせて四匹の子猫と仲良く遊んでいた。
 そして茶色の虎毛の母猫に身体を舐めてもらってだった。
「ニャン」
「クゥ~~ン」
 尻尾を振って身体を摺り寄せて懐いていた、そのスタッフはイヴァンカに彼等を見せてからそうして話した。
「三毛の子がサリーとメグで黒白の子がマッチ、キジトラの子はトビーよ」
「首輪に名前がありますね」
「母親はダイアナで犬はボビーっていうの」
「ここでも猫がお母さんですね」
「ええ、ボビーは生まれてすぐに道で保護したけれど野良犬らしくて母親もね」
「いなかったですか」
「拾ってすぐにうちに迎え入れたけれど」
 それでもというのだ。
「すぐにダイアナが他の子達と同じ様にお乳を与えてくれてね」
「育ててくれたんですね」
「そう、そしてね」
「今もですね」
「育ててくれているの、種類は違うけれど」
 生きもののそれはというのだ。
「ダイアナはああしてね」
「ボビーを育ててくれてるんですね」
「他の子達とね、ボビーもダイアナの子供で」
 種類は違うがというのだ。
「サリー達にとってもね」
「兄弟ですね」
「そうなってるわ、だからこれからもね」
「この子達は一緒ですね」
「そちらのアレナちゃんも素晴らしくて」
「フロリダのですね」
 イヴァンカは彼女のことも話していたのだ。
「ボビーもですね」
「そうでうちのダイアナもね」
「同じですね」
「ええ、猫はとても優しい生きものよ」
「母性に溢れていますね」
「そのことがわかったわ」
 全ての子供達に身体を預け一緒に寝ているダイアナを見て話した。
「本当にね」
「そうですね、オオヤマネコも猫ですから」
「気まぐれとか我儘とか言われてるけれど」
「優しくもありますね」
「いいお母さんよ」
 こうイヴァンカに話した、イヴァンカは今回の研修で動物園のことだけでなくこうしたことも学んだ。
 そうしてイルクーツクに戻って同僚達にアメリカで見聞きしたことを話した、そのうえでアレナを見ると彼女は今度は犬の子供の世話をしていた。その時も彼女はこれ以上はないまでに優しい母親であった。


マザーキャット   完


                  2021・9・27 
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