おっちょこちょいのかよちゃん
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165 石松の左目
前書き
《前回》
藤木を探しに向かうかよ子達は夜を迎えた為、休息する事にする。ところがかつてローマ皇帝解いて生きて来たカール5世がかよ子達を襲撃する。のり子の人形・キャロラインが攻略の為に彼が仕込む機械を探知しようとするが、カール5世に見抜かれてしまう。そんな時、石松が奥の手として眼帯を外す!!
石松は隻眼であるのは知っているのですが、これを活用したいと思い、今回の設定が出来上がりました。
石松は左目の眼帯を外し、かよ子に見せた。石松の左目は黄金色だった。
「そ、その目は・・・!!」
「これで奴を出し抜く」
石松はカール5世の方を向いた。
「山田かよ子、お主の羽根に宿っておる玄奘の法力を借りるぞ!」
かよ子の羽根が金色に光る。その時、大きな鬼のような物体が現れた。
「お・・・、鬼!?」
「いや、大物主神を呼び出した。金毘羅宮に奉られておる祭神の一人だ」
「石松、本気でやるのか?」
次郎長は慮る。
「構いませぬ。大物主神!あの者の能力の源を探れ!」
「了解した」
大物主神は数多の光る糸を発現させた。
「な、何だ!?」
カール5世も、関根も、椎名も巨大な神の姿に絶句した。糸がカール5世の二つの個所に張り付いた。
「あの二つの場所だ!」
「貴様、まだ私が本気を出していないと気づいていないな?主の力を思い知るがよい!」
カール5世は十字を手で描いた。
「主よ!」
カール5世から巨大な物体が現れた。イエス・キリストのような感じの容貌だったが、あまりにも禍々しさが感じられた。
「な、なんじゃ?あれは?」
「主よ。この者に裁きを!」
「宜しい。愚かなる者よ」
「神に愚かなる者などおらぬ」
二体の神が同時にせめぎ合った。お互い引けを取らない。
「どっちも譲らないブー!」
「何を呑気に見物している!戦うぞ!」
「う、うん!」
かよ子達も戦闘態勢に入った。かよ子は杖を次郎長の刀に向けて剣に変化させた。皆各々の道具を出して攻撃する。
「大野けんいち!お主には雷の石があろう!」
「あ、ああ・・・」
大野はかつて杉山の物だった雷の石を持っていた。杉山と喧嘩した時に彼が手放してかよ子に頼まれて預かっていた物である。
「大物主神の糸に石の力を与えるのだ!」
「ああ、やってみる!」
(わりいな、杉山・・・。使わせて貰うぜ!)
大野は雷の石を使用した。金色の糸に雷が吸収される。大物主神が放電された。そして糸にも雷撃が伝導され、糸を伝ってカール5世か隠し持っている異能の能力を持つ機械を破壊した。
「な、なんだと?破壊されただと!?」
「今だね!」
関根はカール5世に飛びついて首を撥ねようとした。椎名も水圧で攻撃する。
「主よ、私をお守りください!」
主の力によって椎名と関根の攻撃が無力化された。かよ子達の攻撃も主は撥ね返す。かよ子の剣に変化していた杖も変化が解けてしまった。
「お主、自身が操る神に余所見をさせたな!大物主神!雷の力で己を強化した!」
大物主神が雷撃を放つ。雷の石よりもはるかに強い攻撃だった。
「何!?うお・・・」
主は大物主神の攻撃をまともに受けた。
「あの電撃を使えば・・・!!」
かよ子は主に放たれた電撃に杖を向けた。杖は雷の力を帯びる。
「えい!」
かよ子はカール5世が出した主に攻撃した。しかし、意味がなかった。
「山田かよ子!あちらは杖であっても倒しきれぬ!出現させた方の者を狙え!」
「う、うん!」
かよ子はおっちょこちょいをやってしまったと思いながらもカール5世に攻撃する。
「主よ、私をお守りください!」
カール5世は主に自身の加護を乞うた。
「ああ」
「貴様の相手は私だ!」
大物主神が糸で主を拘束した。そして糸が黒い蛇に変化した。蛇は主を吸収させる。
「お、おおおお・・・」
カール5世が出した主は消滅した。
「ええい!」
かよ子はカール5世に向けて放電した。カール5世は電撃を喰らう。
「あ、あああ・・・!!」
カール5世は黒焦げにされた後、光と化した。
「やった・・・」
「いい所持ってっちゃって、もう~」
関根がかよ子をからかった。
「終わったか・・・」
石松は左目を眼帯で隠した。そして疲弊でぐったりしていた。
「石松、大丈夫なのか?」
「ああ、石松は金毘羅参りをした影響もある。石松自身も金刀比羅宮の祭神を呼び寄せる力を会得で来たとはいえ、『神』や『仏』という存在は我々とも異なる存在であり、強大な存在でもあるのだ。山田かよ子、お主らがいる清水の三保神社に祀られている御穂津姫もその一人だ」
次郎長が説明した。
(そういえば・・・)
かよ子は名古屋でのさりの持つ護符の争奪戦に参加した時も、赤軍の一人、岡本公三が聖母マリアを召喚した事がある。その時は機械の助力もあったのだが、自身の持つ杖や誰の攻撃も通用せず、防御しようにも撥ね返す事はできなかった。それだけ神と言うのは強力な分、扱ったり接したりするのは本来は容易ではないとかよ子は思い知った。
「神様を使うってのはとても大変な事なんだね・・・」
「左様。石松のように扱えば大きな代償が生じる事もあるのだ。まだ夜は明けておらぬ。もう一休みしよう」
「うん」
かよ子達は再び羽根の上に睡眠を取る事にしたのだった。
そんな中、かよ子はいる異世界の中とはまた違った次元に存在していた。周りは闇一色で誰もいない。
(ここはどこ・・・?)
その時、声が聞こえた。
[よくも倒したな・・・。我が姉や兄を・・・]
「だ、誰!?」
[そして我が戦友達も消してくれたものだ。貴様、ただで済ますと思うな・・・。貴様の想い人を私の一部として吸収し、働かせて貰おう・・・]
「想い人・・・?」
声はそれ以上聞こえなかった。
(想い人・・・?それって好きな人って意味・・・)
かよ子は「想い人」の意味を考える。
(もしかして杉山君が・・・!?杉山君、杉山君・・・!!)
かよ子は好きな男子の事を考える。だが、意識が遠のいていった。
既に朝日が昇っていた。かよ子は目を開けた。
「山田、大丈夫かブー?」
ブー太郎が横にいた。
「ぶ、ブー太郎・・・。私、どうしてたの?」
かよ子は自分が何をしていたのか分からなかった」
「お前、さっきまで寝言で『杉山君!』って何度も行ってたんだブー」
「杉山君の事・・・?そういえば・・・」
かよ子は夢の中で謎の声がしたのを思い出した。ただし内容が中々思い出せない。
(でも確かええと・・・)
「きっとうなされていたのであろうな」
小政が推測した。
「そうだ、石松は大丈夫なの?」
「ああ、労力を消耗してはいたが、今は起き上がれるようになった」
一方、大野はかよ子からあの親友の名を出されてある事が頭に浮かんだ。
(杉山か・・・。そういえば夜中の戦いでもこいつの石を使わせて貰った・・・)
大野は杉山が持っていた雷の石がカール5世及び彼が召喚した神を撃退させることに成功した。自分が転校すると知って杉山と喧嘩になった際、杉山が手放し、かよ子に頼まれて持っている石である。
(あいつは、転校する俺にどうして欲しかったんだ・・・?)
大野は改めて思う。かよ子は行方不明の杉山が気になる。だが、今の己の使命はまた別に行方不明となっている藤木茂の救出である事を確認する。
(藤木君を取り返したら、今度は杉山君を探し出す・・・!!)
かよ子は次の次である目標を掲げた。
後書き
次回は・・・
「少年を追い続ける」
朝になり、再び藤木の捜索に動き出すかよ子は杉山が今どうしているのか気になり出す。そして杉山を連れ戻しに行こうとするりえ達はある人物から襲撃を受け、交戦する事になる・・・!!
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