優しく聡明な生きものなので
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第二章
「明日は来るよ」
「ウホ」
「だから明日また遊ぼう」
「ウホホ」
寂しそうだがわかったと手話で話してだった。
翌日ボールが来ると楽しそうに遊んだ、その中で。
ココは手話で人と話す様になった、すると。
「命、生死について」
「ココとだね」
「最近話しています」
女性は男性に話した。
「手話で」
「命はどうしてあるか、どういったものか」
「それで命はどうして死ぬのか」
「そういうことをだね」
「ココと話しています」
そうしているというのだ。
「最近は」
「そうなんだね、それもね」
「はい、それもですね」
「ゴリラだからだよ」
「聡明な生きものだからですね」
「それでだよ」
だからだというのだ。
「そうした話もね」
「手話で、ですね」
「出来るんだ」
「そうなんですね」
「優しくてね」
「暴力を振るわず猫とも絆を築けて」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「哲学者の様に」
「命や生死のことをですね」
「考えられるんだ」
「そうなんですね」
「手話を通じてね、僕もまさかそこまで考えているなんて思わなかったよ」
ゴリラがというのだ。
「命や生死のことまでね」
「幾ら聡明でも」
「うん、けれど手話を教えて」
「そのことがわかりましたね」
「ココに手話を教えてよかったね」
彼はこうも言った。
「そうだね」
「そうですね、そう思うと」
「うん、これからもね」
「ココに手話を教えていって」
そうしてというのだ。
「彼女と話をしていこう」
「そうしていきましょう」
「そうしていけば」
それならというのだ。
「もっと素晴らしいことがわかるよ」
「そうですね、それじゃあ」
「そうしていこう」
「はい、じゃあ今日もココと」
「話をしよう、ボール行こうか」
「ニャオン」
二人と一緒にいたボールも頷く様に鳴いて応えた、そうしてだった。
彼等はココのところに行った、そしてボールと一緒に遊ぶココと手話で話をした。この時もココが語るものは非常に素晴らしいものだった。とても優しく聡明なものであった。
優しく聡明な生きものなので 完
2021・9・26
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