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東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.

作者:福岡市民
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番外
  東風谷早苗の誕生日

−5月17日・守矢神社−


神奈子「ーーーそれじゃあ明日はそんな感じでよろしく」

諏訪子「OK!皆に伝えてくるよ」

神奈子「ええ。くれぐれも早苗には内緒でお願いするわ」

早苗「私がどうかしたんですか?」ヒョコッ

神奈子「あ……い、いや何でもないよ。ほら、諏訪子!早く行っておいで!!」

諏訪子「う、うん!」ピュ-

神奈子「さーて、私はあっちで御柱の手入れでもしようっと…」(←そそくさと退散)

早苗「?」



ーー
ーーー


※早苗視点


おはようございます!東風谷早苗です。
今日は5月18日、つまり私の誕生日なんです!
実はこの日が来るのをずっと心待ちにしていました。なんといっても誕生日は皆から祝ってもらえる特別な日...。うーん、いくつになってもワクワクします♪

ちなみに去年の誕生日は神奈子様と諏訪子様に地底の温泉へ連れて行ってもらいました。
今年はどんなお祝いをしてもらえるのでしょうか?楽しみです((o(^∇^)o))

いま、そのお二人が起きてこられるのを待っているところです。
まだかなまだかな……あ、起きてこられました!


早苗『神奈子様、諏訪子様!おはようございます♪』

神奈子「ああ、早苗。おはよう」

諏訪子「おはよう、早苗。今日も早いね」

神奈子「(カレンダーを見て)今日は18日の月曜日か。そうそう、今日はーーー」


おっ、早速祝ってもらえるのかな⁉︎


神奈子「ヤングマガジンの発売日だね」

諏訪子「ああ、今日か!紫に仕入れてもらうよう頼んでおくね」


あ、あれ?おかしいな。
例年だと一番に「おめでとう」と言って下さるのに…。どうしたんでしょう?


『お二人とも、もっと大切なことがあるじゃないですか!』

神奈子&諏訪子「「もっと大切なこと?」」

『ほら、例えば誰かの誕生日とか…』


うーん、誘導が露骨すぎたかな…。


諏訪子「誕生日誕生日……あっ!」

諏訪子「ごめんごめん、今日は大迫勇也の誕生日だったね!」

神奈子「“大迫半端ないって!”で有名になったあのサッカー選手か。そりゃあめでたいねえ!」

『もういいです、お二人のことなんて知りません!』


私はヤケになって神社を飛び出しました。しかしどこにも行くあてはありません。
とりあえず博麗神社にでも行ってみますか。



ーー
ーーー


−博麗神社−


さて、博麗神社に着きました。
うーん、いつ来ても人が全くいませんね。この神社、大丈夫かな…(^^;;

あっ、あれは霊夢さんですね。よし、話しかけてみよう。


『霊夢さーん!』

霊夢「あら、商売敵が何の用?」

『出会っていきなりそれは酷くないですか⁉︎』

霊夢「冗談よ。どうしたの?」

『今日は何の日かご存じですか?』

霊夢「博麗神社にお賽銭をあげたくなる日……じゃない?」


相変わらずの他力本願ぶり!本当に博麗神社は大丈夫なんだろうか…?


『違いますよ!今日は私の誕生日なんです。今日で18歳になりました♪』

霊夢「あら、そう。よかったじゃない」


いやいや!もっと言うことあるでしょ⁉︎


霊夢「用はそれだけ?じゃあね」

『ええ⁉︎ちょっとちょっとーーーあ、行っちゃった』



ーー
ーーー


−守矢神社−


はあ…もう夕方かあ。
あれから会う人妖(ひと)ごとに今日は何の日か聞いて回りましたが、皆一様に頓珍漢なことを言うかすげなく追い返されるかのどちらかでした。
なんだか皆さん冷たいですね…。私、泣いちゃいますよ?

おや?あれは魔理沙さんじゃないですか。
なぜ魔理沙さんが守矢神社(うち)にいるのかは置いといて、どうして皆がこうも冷たいのか泣きまねで聞いてみようっと。


『魔理沙さーん!』ガバッ!

魔理沙「おわあっ!……さ、早苗⁉︎」

『魔理沙さん、今日はなぜか皆が私に冷たいんですよぅ。どうしてでしょうか……?』グスン

魔理沙(・・・!)

魔理沙「なんだ、いきなり飛びついてきたりなんかして。ほら邪魔だぜ!どいたどいた!!」グイッ

『酷い!魔理沙さん、そんなのないですよ!!』


しかし、魔理沙さんはただ私をチラッと見ただけですぐどこかへ飛んでいってしまいました。


魔理沙(すまんな、早苗・・・。)



ーー
ーーー


あっという間に夜になってしまいました。神奈子様も諏訪子様もいないし、本当にどうしちゃったんでしょう?
もしかして私、本当は皆から嫌われているのかな…。

あれ、机の上に書き置きがある。


ーーーー


早苗へ
本日20時に神社裏の倉庫へ来られたし。
諏訪子


ーーーー


長く生きてこられたからでしょうか、「来られたし」なんてずいぶんと古い言い回しを知ってあるんですねえ。
時刻は…そろそろ20時。行ってみましょうか。



ーー
ーーー


−守矢神社・倉庫−


倉庫へ着きました。でも灯りも点いてないし、人の気配すら感じられない…。
あれ、倉庫の鍵が開いてる。どうして?


ガラガラ…(←扉を開ける音)


うーん、誰もいないみたいだけど…。


パン!
パン!パン!


『ひゃあっ⁉︎』ビクッ!


ーーーえっ、なに!何なの⁉︎



ーー
ーーー


※第三者視点


パン!パンパン!!
早苗が倉庫の中へ一歩足を踏み入れた瞬間、クラッカーが一斉に鳴ってパッと灯りが点いた。


早苗「ひゃあっ⁉︎」ビクッ!

???「早苗、誕生日おめでとう!」


驚いた早苗が目を白黒させていると、聞き慣れた仲間たちの声が聞こえた。


早苗「え…?」


ようやく明るさに目が慣れた早苗が辺りを見回すと、綺麗に飾り付けされた倉庫内には真っ白なテーブルクロスがかけられた大きなテーブルがあり、その上には料理や飲み物がたくさんあった。

そしてテーブルを背に、いつもの仲間が満面の笑みで並んでいた。


諏訪子「にとり、ありがとう。もういいよ」

にとり「うんうん、“新・光学迷彩スーツ”の効果は抜群だね!」

魔理沙「サニー!ルナ!もういいぜ」

サニーミルク「はあ、長かったー」

ルナチャイルド「さすがに少し疲れたわね」

スターサファイア「二人ともお疲れさま♪」

早苗「皆さん、これは…?」

幽々子「ふふふ、驚いたでしょう?“みんなで早苗を驚かそう”っていう計画だったの」

(うつほ)「そうそう、昨日諏訪子から概要を聞いてね。“ 夜まではできるだけ知らん顔していよう”ってことになったんだ」

早苗「それってーーー」

神奈子「ごめんね、早苗」


ばつが悪そうに神奈子が言った。


神奈子「“サザエさん”を読んでいて思いついたのよ、知らん顔した後で思いきり驚かせようって。たぶんどこへ行っても塩対応だったと思うけどそれはそのせいよ」

霊夢「私はいつも通りだったけどね」

早苗「そうだったんですね……はは、良かったぁ」


早苗がへなへなと座り込んだときだった。


魔理沙「早苗…」


魔理沙がスッと早苗の前に立った。


早苗「魔理沙さん…」

魔理沙「いくら本心じゃないとはいえ早苗に酷い振る舞いをしてしまった…。本当にごめん!申し訳なかった!」


魔理沙は深々と頭を下げた。


『顔を上げて下さい。』
魔理沙が顔を上げると早苗は柔和な笑みを浮かべていた。


早苗「魔理沙さんがそんな人じゃないというのは知っていますし、わざとじゃないというのも薄々感じていました。だからもういいんです。これからもよろしくお願いしますね?」

魔理沙「早苗…」

アリス「ああもう、いつまでしみったれた話ししてるの⁉︎ほら、話しはそれぐらいにして乾杯するわよ!」

魔理沙「いててて、引っ張るなよ!」


しんみりした空気を振り払うようにアリスが割り込み、魔理沙の腕を引っ張った。


早苗「……はい♪」



ーー
ーーー


レミリア「それではこれより、東風谷早苗の誕生会を始めたいと思います。司会は私、レミリア・スカーレットが務めさせて頂きます。どうぞよろしく」

永琳「なんで貴女が司会なのよ」

レミリア「別にいいじゃない。えー、それでは乾杯よ。お手元のグラスを取ってちょうだい」

レミリア「全員持ったわね?では乾杯しましょう。乾杯!」

一同「乾杯!」


グラスを合わせる音が倉庫に響いた。




ーーーこうして始まった東風谷早苗の誕生日パーティー。
早苗は終始笑顔で楽しいひと時を過ごした。


(了) 
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