イベリス
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第二十二話 ゴールデンウィークに入りその三
「大変魅力的な方ですが」
「その人が来られてもですか」
「貴女にその趣味がなければ」
それならというのだ。
「そうされて下さい」
「わかりました」
咲は速水の言葉に頷いた。
「そうさせて頂きます」
「それでは」
「はい、そしてですが」
「そして?」
「お昼ですが」
速水はそちらの話もした。
「用意されていますか」
「途中コンビニで買ってきました」
咲はすぐに答えた。
「ですから」
「大丈夫ですか」
「そうでした」
「何でしたら」
速水は微笑んで述べた。
「お店を紹介しようとです」
「お店ですか」
「この渋谷の美味しいお店を」
「あの、美味しいって」
そう言われてだ、咲は速水に怪訝な顔で応えた。
「どういったお店でしょうか」
「いえ、ハンバーグのチェーン店」
「ああ、あそこですね」
そう言われて咲もわかった。
「びっくりですね」
「あちらです」
速水は微笑んだまま答えた。
「今日のお昼はと考えていまして」
「そうだったんですか、そういえば」
咲はここで速水のプライベートのこと、それまで碌に知らなかったそのことについて彼自身に尋ねた。
「所長さんは好きな食べものは」
「何かです」
「はい、どういったものが」
「多いですがお話して宜しいでしょうか」
速水は咲にまずはこう返した。
「そちらのことも」
「お願いします、どういったものがお好きですか?」
「まずはお刺身ですね」
これだというのだ。
「天麩羅、焼き魚にムニエルも好きです」
「お魚お好きなんですか」
「魚介類は全て。ですからブイヤベースや海鮮麺も好きです」
そういったものもというのだ。
「パスタもそうしたものが」
「魚介類ですか」
「八宝菜や炒飯も魚介類が入っていますと」
「いいんですか」
「和食も中華もフレンチもイタリアンもです」
そういった料理でもというのだ。
「魚介類がありますと」
「じゃあお寿司は」
「大好きです」
笑顔での返事だった。
「やはり」
「やっぱりそうですか」
「そして」
速水はさらに話した。
「お野菜も。サラダやシチューもです」
「お好きですか」
「特に大蒜とトマト西瓜と苺が」
「ああ、どちらもいいですね」
「果物は桃や無花果、柿にライチです」
そうしたものがというのだ。
「好きです」
「甘いものもお好きですか」
「そちらもかなり。杏仁豆腐やケーキも」
そうしたスイーツもというのだ。
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