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おぢばにおかえり

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第六十六話 好き嫌いその十七

「普通免許よ」
「まずはですね」
「そっちを手に入れてね」
「そうさせてもらいます」
「そういうことでね、それとね」
 私は阿波野君にさらにお話しました、ふと海を見ると静かでしかも何もありません。何かそれが絵になる感じです。
「阿波野君海とはあまり縁がなかったわね」
「奈良ですからね」
「生まれは大阪よね」
「それで四歳まで泉北の方に住んでいました」
「そうだったのね」
「けれど四歳で奈良に引っ越して」
 その宇陀にとのことです。
「ずっとこっちで」
「海とは馴染みがないのね」
「そうなんですよ、ですから海を見ると嬉しいですね」
「ここにいたら何時でも見られるけれど」
 それでもです。
「確かにおぢばにいてもね」
「海とは無縁ですね」
「それで昔はおぢばでは生魚食べていなかったのよ」
「すぐに傷むからですね」
「海のお魚もね」
 勿論貝類とか烏賊もです。
「そうだったのよ、奥華の方もよ」
「大教会ですか」
「八尾にあるわね」
 大阪府八尾市です、おぢばとは近いです。
「あちらでもそうだったのよ」
「今じゃ海まで電車ですぐですね」
「車でもね、けれどね」
「昔は違ったんですね」
「毎日牛車轢いて教会行き来したお話もあるわよ」
 このお話は本当にあります。
「とある教会長さんがそうされていたの」
「それ戦前のお話ですか」
「いえ、戦後よ」
「戦後暫くしてですね」
「ええ、今のその教会の会長さんの先代さんで」
 前会長さんといいます。 
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