FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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王の能力
前書き
実はフィジークのコンテストに出るため現在減量中です。減量末期のため頭が回ってなかったり突然やる気がなくなって文章を切ったりしてるので何が言いたいのかわからないところがあると思いますが、ご了承ください|ョω・`)イツモノコトジャネ?
第三者side
「やれやれ、これは厄介な相手がやってきたな」
窓の外を見つめながらタメ息を漏らす青年。彼の後ろにいた一人の男が、慌てたようにその横に立った。
「襲撃ですか?」
敵が現れたのかと思いそこから見える景色を見渡すが、人の気配がまるでない。先程の騒ぎが原因で街にいるのは自分たちの仲間ばかりの状況で、なぜ彼がそんなことを言ったのか解せなかった男は、そちらに目をやる。
「えっと・・・どういうことですか?」
意味がわからないまま、なんとか声をかける男。どう見ても彼の方が年上だが、立場的なものなのだろう。慣れない敬語で相手の機嫌を損ねないようにしているのが伺える。
「私たちを倒すための敵が、この国に上陸しているということだ」
そういって男に視線を向ける青年。彼のその目からは光を感じない。まるで死んでいるかのような瞳をしていた。
「え・・・そのような情報は入っておりませんが・・・」
「私にはわかる。それも、相当な手練れのようだ」
とても信じられないようなその情報に納得がいかない様子。しかし、この青年が言うからにはとすぐに部下を調査に出す。
「しかも天使の子供か・・・さてさて、どうしたものかな」
シリルside
「以上が今の現状ね」
「なるほどね」
ジェリーさんたちにこの国の状況を詳しく聞いたが、話しに聞いていた通りの状況のようだ。あの二人の殺戮から逃げ続けていた闇ギルドが一念発起して国を乗っ取った。そして力のある魔導士や傭兵たちがいない一般市民たちはその恐怖に怯えながらの生活を余儀なくされているらしい。
「しかも現国王がなぜかあんたたちの作戦をことごとく潰してるわけね」
「裏切り者でもいるんじゃない~?」
冗談で言ったつもりだったのだろうが、その発言をした途端全員がセシリーを睨み付けた。彼女はそれに焦り、俺の後ろに隠れる。
「でも、それを疑いたくなるくらい次々にやられてるんじゃないですか?」
「なんだよ、俺らの中にスパイがいるって言うのか?」
このキラー・ハンターでは何回か現国王・・・つまりかつての闇ギルドを仕切っているバリーザウィッチを倒すために動いたらしいのだが、その作戦はことごとく失敗しているらしい。
普段は使われていない・・・街の人しか知らないはずの隠し通路を使ったはずが出口で待たれていたり、普段は警備が少ない時間帯に動いてみればその日に限って厳重になっていたり・・・それだけでスパイがいるのではと疑ってしまうのは間違ってはいないと思う。
「私たちもそれは考えたわ」
「え!?考えてたの!?」
「むしろなんで考えてないんだよ・・・」
どうやらリーダーであるユウキさんだけはバカ正直に仲間たちのことを信じていたらしい。なんかナツさん傾向のある人のような気がしてきて、親近感が湧いてきた。
「だから一度本来とは異なる作戦を伝えて行動したのに、それすらも見抜かれていたのよ」
「つまりスパイである可能性があるのは俺たち三人だけになったってことだ」
このチームのリーダー格であるユウキさん、ミハエルさん、ジェリーさん。この三人しか正確な作戦を知らない状況で動いていたのにそれすらも見抜かれていた。
「ユウキさんたちが俺たちを裏切るわけないじゃないか!!」
「つまり相手が何かの魔法で俺たちの動向を探ってるんだ!!」
ただ、三人は相当な信頼を得ているようで他の皆さんは全く疑うことをしていない。確かに勘違いとはいえレオンに挑めるほどの正義感がある人が裏切るとは思えないし、他の二人もとてもそうは見えない。となると・・・
「もしかしたら、私と同じ魔法を使っているのかもしれない」
突然そう言ったシャルルの方を見る。シャルルの魔法っていうと・・・
「変身魔法?」
「ひっぱたかれたいの?」
どうやら外れてたみたい。般若のような表情でこちらを睨んでいる彼女を見て苦笑いを浮かべる。変身魔法が違うということは、こっちの方か。
「未来予知のことだよね?」
「そう。もしその現国王が私と同じ力を持っているとすれば?」
「相手の出所がすぐわかる~!!」
エドラスの時にシャゴットの未来予知の力によってウェンディとナツさんが捕まえられたことを思い出す。シャルルも同じようにその力を持っていたおかげで潜入できたけど、当時は完全には使いこなせていなかったことと、お母さんであるシャゴットの方が能力が高かったからあっさりやられてしまったんだよね。
「シャルルの力で相手の予測を上回れないの?」
「難しいわね。それに、最近なんだかうまく未来が見えないのよね」
言われてみれば、シャルルの予知の話を最近聞いた記憶がない。いつくらいからだったかな?アルバレスとの戦いの時は作用してた気がするけど・・・
「相手がこちらの動きを予測できているのだとしたら、迂闊には動けないわね」
「どうしたものかね・・・」
頭を悩ませながら何か良い手がないかと考えてはみるものの、そう簡単に思い付くわけがない。
(こういう時、他の人ならどういうことを考えるのかな?)
ナツさんなら・・・グレイさんなら・・・エルザさんなら・・・あの人たちは本当に突拍子のない作戦を思い付くことがある。妖精の尻尾という破天荒集団ならではの思考なのかとも思うけど、それを考えつけるのが彼らの強みでもある。
「そもそも私たちのことも相手にバレてるんじゃない?」
「その可能性は十分にあるわね」
こちらの行動を予知することができるとすれば、俺たちがこの国にやってきていることも把握できていることは考えられる。そして俺たちが動けば、すぐに対応してくることも。
「あ、そうか」
「「「「「??」」」」」
そこまで来て、あることに気が付いた。もしこの仮説が正しい場合、どうすればいいのかということに。
「みんな、集まって」
「何々?」
「まさかいい方法でも思い付いたのか?」
「この短時間で」
期待の眼差しを向けてくる皆さん。彼らには申し訳ないけど、それはちょっと違うんだよね。
「いや、それはこれから考える」
「は?」
意味がわからず間抜けな声が出たユウキさん。他の人たちも顔を見合わせていたけど、その反応は当然だ。だって全員に声をかけておいて何も作戦が決まっていないということは、普通の人ならやりたくないことだろうから。
「大丈夫大丈夫。大体やりたいことは決まってるから。ただ、細かいところをこれから決めるってだけだよ」
頭の中におおよその考えは纏まっている。ただ、それをやれるだけのものが揃っているのか、そしてみんながそれに賛成してくれるかが重要だ。
「かなりリスクもあるし、うまくいくかはわからない。だけど、やれる?」
「それは聞いてから判断するよ」
「そうだね。そう言ってくれないと心配になっちゃうよ」
聞く前から賛同されても困る。まずは俺が何をしようとしているかを伝える。それにはやはり、困惑の表情を浮かべる人が多くいた。
「え?それだけ?」
「そんなのでうまくいくのか?」
俺の作戦を聞いた途端、期待していたからかすごい落胆されているのがわかる。そう思うのも無理はないよね、俺もうまくいくかどうかわからないし、最後の局面のことは伝えてないからね。
「でも、何も対策がないよりかはいけるかも?」
「待てよ。もし失敗したら全滅だぞ」
「それは今までだってそうだろ」
現国王を倒すために今まで色々な作戦を繰り出してきたみたいだけど、その全てが不発。仲間も多く失っているみたいで、今ここに残っている人がこれだけいるが奇跡らしい。
「一応確認しておくが、お前は本当に強いんだよな?」
「うん。その自信はあるよ」
今まで潜ってきた修羅場の数はかなりの量だ。それに、その度に成長してきたという自負もある。何より、ウェンディたちもいる時点で、こちらは戦力としては十分だ。
「どうする?いやならやめるよ」
「いや、やろう。今回はお前を信じてやる」
よほどティオスを倒したというワードが効いているのか、先程までの態度とは異なり協力的になったユウキ。リーダーのその言葉を聞いて、メンバーたちも賛同するように声を上げていた。
「よし!!じゃあ早速準備しよう。作戦の結構はさっき話した通りの時間で行くから、それまでには済ませるよ」
まずは作戦のための準備をしなければならない。そこまで大掛かりな準備は必要ないから時間はかからないだろうけど、早めに動いておいて損はない。
(この仮説が間違ってたらヤバイけど、打開策もないし今はやるしかないよね)
一抹の不安は拭い切れないけど、とにかくやるしかない。街の人たちもここにいるチームの人たちも不満や不安でろくな生活ができていないのが伺える。何より、俺たちとしては前回の任務失敗を挽回したい気持ちが強い。できることは早くやりたいと、急ぎながら行動するのだった。
後書き
いかがだったでしょうか。
レオンがいるといいところを持っていかれるけど、シリルしかいないとちゃんとやるべきことをやってくれる主人公感がでてきたと思います。
もうしばらくはシリルが頑張ってくれるかな?と思ったりしてます。
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