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レーヴァティン

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第二百十九話 四国分裂その十三

「しゃしゃり出ないでね」
「自分はか」
「三国志の劉禅がそうでしょ」
 蜀の後主だ、劉備の息子である。
「孔明達これはといった人にね」
「任せていたな」
「演義じゃ邪魔していた様に書かれてるけれど」
 それでもというのだ。
「実はね」
「孔明達に任せていたな」
「自分は一切口を出さないで」
 そうしてだったのだ。
「完全に信頼してね」
「任せていたな」
「これもやり方よ」
 君主のそれの一つだというのだ。
「だからね」
「そうした奴はか」
「それも手よ、タレーランもフーシェも汚職もするけれど」
 そうした面でも評判が悪かった。
「けれどね」
「有能だからか」
「いい仕事はするから」
「任せることもか」
「自分が害にならない限りは陥れないし」
 二人共ナポレオンがもう駄目だと思ったから裏切ったのだ、私利私欲からというと完全にはそうではなかった。
「だからね」
「任せることもか」
「いいわよ」 
「それも手か」
「勿論裏切られない前提よ」
「孔明は絶対に裏切らないけれどな」
「劉禅もわかっていたわ」
 公明が裏切らないことをだ。
「裏切られないのなら」
「任せることもか」
「手よ」
「色々やり方はあるな」
「ええ、人の用い方もね」
「そういうことだな、今日もいいことを知ったぜ」 
 久志は笑った、そしてだった。
 兵をリバプールにさらに進めさせた、そうして連合王国を攻めていった。


第二百十九話   完


                  2021・7・23 
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