おっちょこちょいのかよちゃん
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156 赤軍の長、危険な遭遇
前書き
《前回》
クローマー伯爵の襲撃に苦慮するかよ子達だったが、大学生の女性二名に嘗てインドの女王として生きたラクシュミーの援護により形勢逆転させ、クローマー伯爵の軍勢の撃破に成功する。かよ子達は藤木の救出の為に先に進み、本部にいるフローレンスとイマヌエルも各々の「仕事」の為にある行動を開始する!!
オリジナルキャラ紹介・その13
鯉沢輝愛(こいざわ きあら)
広島に住むスケバンの女子高校生。初登場42話(ただし本格的な登場は89話)。三河口を凌ぐ程敏感な見聞の能力と攻撃に特化された武装の能力を持つ。広島弁訛りで喋り、気性も荒い。未成年で喫煙したり、パーマをかけてスカートの裾を長くしたりと典型的な不良である。原子力を利用した銃を使用し、光線で相手を溶かしたり、原爆のような弾を飛ばして爆発を起こす。好きな食べ物はお好み焼き、桃。
本部のとある部屋。赤軍の政治委員・吉村和江と足立正生はそれぞれ別室で監禁されていた。拘束こそはされていなかったが、それぞれの部屋からはどうやっても扉を開ける事はできない。二人はある時、声が聞こえた。
「吉村和江、足立正生、聞こえるか?」
「な、何者だ!?」
『我が名はイマヌエル。さて、話し合いの時間といこうか』
吉村と足立は別の部屋へと瞬間移動させられた。
「こ、ここは・・・?」
二人はとある椅子に座らされていた。しかし、椅子に張り付けられたように立ち上がる事はできない。そこにはイマヌエルがいた。
「さて、君達は一度戦争放棄した日本にどうして交戦権を再び持たせたいのか?」
「それは勿論、今の日本が弱くなっちまったからだろ」
足立が答えた。
「しかし、そうでもないようだ。日本は経済が成長し、アメリカなどとも肩を並べられる経済大国になっているのだよ。まあ、川に流した工業排水による人体への毒が問題ともなっているが」
「何を言ってる!今の日本に必要なのは軍事力よ!そんな経済だの工業の発展だのはどうでもいいの!」
吉村が激昂した。
「どうやらまだ分からぬようだな。少し失礼する。ちょっと待ちたまえ」
イマヌエルは頭が固い連中と思いながら部屋を出た。
フローレンスは「生前の世」への道を進んでいた。その時、通信機が鳴る。
「はい」
『こちらイマヌエルだ。赤軍の政治委員の二人には口で言ってもどうやら伝わらないようだ。解放させるのは難しいな』
「そうですか。しかし、そうしませんとあの国に無関係な人達が巻き込まれます恐れがありますからね。今、赤軍の長は本物の『三つの道具』を探し出します為に暴虐の限りを尽くしますかもしれません。それを食い止めればと思います。あの二人の解放は今の所保留としましょう」
『そうだね』
通信を切り、フローレンスは東京都、静岡県、そして愛知県の神社に祀られている神を呼ぶ。
「皆様、赤軍の人間が何処にいますか、捜索して頂きたいのです。赤軍は我々の策に嵌り、本物の杖か護符、あるいは杯を探しています筈です。放置しておりますと、無差別に多くの人に危害を加えます可能性がありますのです」
「了解しました。お探ししてみましょう」
「ありがとうございます」
それぞれの神社の神達は一旦姿を消した。そして三分程して名古屋の祭神・熱田大神が戻って来た。
「フローレンス殿。我が地の付近におりました」
「畏まりました。行きましょう」
フローレンスは愛知県へと向かった。
赤軍の長、重信房子は愛知県の上空へとジェット機を飛ばしていた。
(どこだ、もう一度襲ってやるわ・・・!!)
その時、声が聞こえた。
「もうここに護符はございませんよ」
「だ、誰!?」
房子は周りを見回した。そして一つの方向に一人の女性が浮遊していた。
「私はフローレンス。平和を正義とします世界の者です。赤軍の長、重信房子。貴女は護符や杖、剣を探し出します為に街を荒らしますのですか?」
「当たり前よ。私達の取引を邪魔したのは貴女ね?下衆が!」
「多くの人を巻き添えにします事を厭いません貴女も上品と思えませんが。それから『この世界』にはもう三つの道具、何れもございません」
「は!?」
「私達の世界に既に回収してあります。信じます信じませんはそちらの勝手ですが、ここで無意味な攻撃を続けますか?それとも「あちらの世界」で探しますか?向こうで仲間に確認してみては如何でしょうか?それでは」
フローレンスはその場から姿を消した。
(あの女・・・!!この機械なら解る筈・・・!!)
房子はとある高校生の持つ三つの異能の能力のうち、探知できる能力を使用した。だが、護符の気配は一切感じられなかった。
(あのフローレンスとやらが言ってる事は本当か・・・!!)
房子は日本上空から撤退する事にした。
(レバノンへ戻って修達と合流しないと・・・!!)
フローレンスは別の場所へと向かう。
(もう一つやらなければなりません事が・・・)
フローレンスは一人の女子高生・徳林奏子から藤木茂という少年の失踪の件について少しながらも詳細を知る事ができたのである。自分の卑怯と言われる行動で好きな少女に疎まれた事、そしてその少女は少年が失踪した事についてもっと早く許してあげればよかったと後悔している事。その少女こそ藤木茂救出の鍵になるとフローレンスは確信していた。
清水市のとある小学校。たまえととし子は体育の授業でマラソン大会に備えて一緒に走っていた。皆は寒さで大変だった。
「寒いね、たまちゃん」
「うん、でも『向こう』に言ってるまるちゃんは休めて良かった、って思ってるかもね」
たまえはまる子の事を思い出した。しかし、風邪で休んでいる者もいたが、それ以前の事情で休んでいる者もいる為、非常に少人数な感は否めなかった。その一方、笹山は友人達と走るが黙々と走る。脳内で「卑怯者」と呼ばれる行方不明の少年の事が頭から離れずにいた。
「藤木君、こんな寒い日にマラソンしなくてある意味運がいいかもしれないね」
「そうだね、まあ仮に行方不明になってなくても仮病で休んでいただろうね」
クラスメイトの山根強と永沢君男はそのように藤木を貶すような会話をしていた。
(やっぱり藤木君はそれでも休むのかな・・・?)
笹山はそう考えていた。
その頃、クローマー伯爵との交戦を終えて次に進んでいたかよ子達藤木救出班は学校の友達の事を考えていた。
「そういえばたまちゃん達は今頃マラソン大会の練習してるのかな・・・?」
「ああ、そういえばこれからの体育はその予定って聞いたブー」
「そうなの!?アタシゃラッキーだねえ・・・。走る必要がないんだもん」
まる子の面倒臭い発言で皆は沈黙した。
「ももこちゃん、私の学校も同じようにマラソン大会の練習してる筈だよ。ももこちゃんと一緒の学校だったら一緒に頑張りたかったのに・・・!!」
のり子が不謹慎とも言いたげな表情でまる子を見た。
「のりちゃん・・・。ごめん・・・」
その時、大野はある予感をしていた。
「おい、また攻めてくる奴がいるぞ!」
大野の予想は当たった。そして白い物質が飛んできた。
「うおっ、なんだ!?」
「これは・・・。塩!?」
「塩じゃと!?しょ、しょっぱいぞ~!これを集めればお母さん達も安心するはずじゃ!」
「じいさん、そんな呑気な話じゃございませんぞ」
友蔵は関根に諌められた。その時、友蔵は腹痛を起こし倒れた。
「う、うう・・・」
「おじいちゃん!!」
まる子が祖父を心配する。
「どうやらこの塩は毒らしいな」
椎名が玉で塩を溶かす。ブー太郎もまた水の石で塩を溶解した。そして皆は塩の飛ぶ方向を確かめた。
「あいつか!さくら、火炎放射だ!」
大野はまる子に命令する。
「でも、おじいちゃんが!」
「私がやるわ!キャロライン!」
「ええ!」
キャロラインは透視能力で塩を飛ばす者を確認した。
「のりちゃん、合体するよ!」
「うん!」
のり子とキャロラインが一人に同化した。
「はあ!」
のり子とキャロラインが光線を放つ。しかし、塩を飛ばす者もまた塩の壁を作って妨害した。しかし、それでも二人は諦めない。塩の壁を何とか破って機械を念力で破壊した。
「ももこちゃんのおじいさん、今、解毒するわ!」
のり子は友蔵の腹に触る。その時、友蔵の腹中でボッという音がした。
「おお、治ったぞい!」
そして一同は相手に近づく。
「ふ、この黄巣様の塩を突破するとは・・・!!」
(この人、塩を武器にする・・・。となると・・・!!)
かよ子はある事を頭に閃かせた。
後書き
次回は・・・
「塩を調理せよ」
塩を操る黄巣と交戦するかよ子達藤木の救出班。かよ子は相手が塩を使うという事で閃かせた対抗策とは何か。そしてフローレンスはかよ子達が住む静岡県清水市へと再訪する・・・!!
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