FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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戦力分断
前書き
最近やらなければならないことが多すぎて時間が空いてしまいました。たぶん次も状況によっては時間をもらうかもしれませんので、ご了承お願いししますm(__)m
二人に向かって放たれた爆弾魔水晶。それに街の人たちも気付いていたが、悲鳴をあげるよりも早くこの男が動いた。
「封印の氷地獄!!」
レオンが手を振るった途端に宙を待っていた爆弾が凍らされる。これにより街の危機は救われた・・・ように見えた。
「・・・う・・・」
しかし、そんな英雄に対して向けられたのは、歓声ではなかった。
「うわあああああ!!」
「黒い氷って・・・」
「こいつまさか・・・」
「「「「「ティオスか!?」」」」」
集まってきていた人々がレオンの魔法を見た途端に悲鳴をあげながら走り出す。彼らの発するその声でなぜあの青年が怒っていたのかわかった。彼はこの国をこのようにした元凶のティオスとレオンを見間違っているんだ。
「あぁ・・・なるほど、そういうことね」
そのことには当人もすぐに気付いた様子。かつて起きたであろう悲劇の再来になるのではと阿鼻叫喚になっている人々の中、先ほどの青年とその相方はレオンとシェリアを見て額に血管を浮かべている。
「そうか・・・こいつがティオスだったのか」
「そうだ。俺たちの家族も仲間もみんな殺した・・・」
大切な人をたくさん失ってしまったからなのだろう、先ほどまで懸命に荒ぶっている仲間を止めていたはずの青年も全く歯止めが効きそうな状況にない。でも、なんで最初にすれ違った時には彼しか反応しなかったんだ?
「いや・・・そういえば・・・」
ティオスは通常時は黒装束を着て顔を隠していた。理由は確か未来から来たことに気付かれて歴史を改変されるのを防ぐため。しかし、恐らく目の前の人物はその素顔を見ることができたのであろう。だから誰よりも早く反応し、莫大な被害が出かねない攻撃を仕掛けてきたのだ。
「これは・・・どうするべきか・・・」
レオンside
「こいつはどうするべきかな・・・」
「まずいよね、これ」
殺意剥き出してこちらを睨み付ける二人。この二人だけを倒すなら大した問題にはならない。しかし、厄介なのは後ろの方だ。
「闇ギルドの奴らが集まってきているんだよな・・・」
俺をティオスと勘違いしてから、一度は距離を取ったみたいだけど、それは仲間を集めるためだったらしい。既に先程よりも遥かに多い人数が集まってきており、かなりの重労働になるのは目に見えていた。
「それもだけど、一般市民を傷つけちゃったら元も子もないよ」
シェリアの冷静な突っ込みに納得する。彼らは依頼を出した一般市民側の人間。それなのに、その人たちを傷つけてしまったら依頼の意味がない。おまけに、彼らは未来の俺たちが出してしまった犠牲者なのだ。そう考えると、手を出すのは間違っている。
彼らの後ろにいるシリルたちに目をやると、彼らもそれがわかっているようで動けない様子。その間にもこの国を占拠している闇ギルドの部隊は集まってきており、これ以上は俺たちも彼らも危険に犯されることは目に見えていた。
「仕方ない・・・シェリア!!ラウル!!」
「うん!!わかった!!」
「了解!!」
正面にいるシリルたちにも目をやる。彼らにアイコンタクトを送ってみるが、イマイチわかっていないのか、反応が薄い。
「レオン!!もう無理だよ」
「早く行こ!!」
「・・・わかった」
あいつらがわかっているかかなり微妙だが、このままでは俺たちの目の前にいる彼らも大変な目に合うかもしれない。そう考えれば少しでも早く動かなければならない。
(しかし、これからどうするべきか・・・)
二人を連れてその場から屋根の上へと飛び移る。
「レーーー」
名前を叫ぼうとしたシリルにアイコンタクトを送る。それでようやく理解した彼は、ぐっと口を塞ぐ。
「まさかこんな形で別行動になるとは・・・」
シリルside
民家の屋根に飛び乗ったレオンたちはそのまま屋根伝いにこの場から離れていく。
「待て!!ティオス!!」
「逃がさねぇ!!」
それを見て興奮状態だった二人はそのまま追いかけようとした。しかし・・・
「ユウキくん!!ミハエルくん!!」
二人の後ろ・・・つまりは俺たちの後ろから聞こえた声で彼らは正気を取り戻した。
「何してるの!?こんなに騒ぎを大きくして!!」
「ぐっ・・・」
「ごめん、行くぞ、ユウキ」
悔しそうな表情で奥歯を噛みながら、ミハエルと呼ばれた青年にうなずくユウキと呼ばれた青年。
「・・・って、そんな呑気に構えてられないや」
状況を理解することに手一杯になっていたけど、今ここに取り残されているのは俺たちだけ。闇ギルドの部隊はレオンたちとユウキさんたちを追いかけようとしているようだけど、この状況では確実に俺らも巻き込まれる。
「君たち何してるの!?」
すぐにここから離れようとしたその時、先ほどの二人を連れ戻しに来たであろう女性がこちらに気が付いた。
「ここにいたら捕まっちゃうよ!!あいつら何するかわからないから」
「え?」
「うわっ!!」
俺とウェンディの手を引いてそのまま走り出す女性。その後ろには先の二人も付いてきており、ますます訳がわからなくなっていた。
「オープンザウィンドウ!!」
「その合言葉そろそろやめない?」
状況を理解できないままたどり着いたのは普通の民家。俺たちの手を引いていた女性がそんな声を出すと、扉のロックが外れる。扉なのにウィンドウなのはすごく気になる・・・
「あれ・・・」
「何か変だよね」
「確かに~・・・」
中に入るとすぐに違和感が襲ってくる。それもわずかな違和感ではない。気になる点が多すぎる。
「埃が・・・」
「人が住んでる感じがしないよね」
入ってすぐに咳き込みそうになってしまうほどの埃が溜まっているのだ。合言葉を使ってまでロックしているにも関わらず、こんなことはまずありえない。
おまけに、こんなに生活感がないにも関わらず、人の匂いがするのだ。それも、この三人のものだけではない。もっと多くの人の匂いがする。
「ねぇ」
「はい?」
「君たちはここで待ってて。見られると困るから」
「「「「??」」」」
ミハエルさんに言われるがままに出入り口付近のところで待っていると、ユウキさんがガサガサと床で何かをしている様子。気になってじっと見ていると、そこにはパスワードを打ち込むようなタッチパネルが隠されており、彼はそれを操作しているようだ。
「すごい厳重・・・」
「そこまでしなきゃいけないんだ・・・」
改めてこの国の現状を見せつけられたようでなんだか悲しくなってくる。その間にも三人はパスワードの入力を終えたようで、何もなかったと思っていた床の一部を取り外すと、俺たちを手招きする。
「いいよ、付いてきて」
「「失礼します」」
どうやらそこからは地下に続いているらしく、人の匂いもそこからすることから、彼らは民家をダミーにして地下で生活をしているみたい。だからあそこまで生活感がなかったんだと、ここで気が付いた。
「みんなぁ、今戻ったよ」
「お帰り!!」
「ユウキ兄!!ご飯は!?」
「ごめん忘れてた」
「「「「「えぇ!?」」」」」
どうやら彼らは食料調達に出ていたようだが、ティオスそっくりに成長してしまったレオンを見て肝心のそれを忘れていたらしい。それを聞いた子供たちは残念そうだったけど、その人数が明らかに多い。大人たちも多くの人数が集まっており、以前の国の出来事を思い出してしまった。
「もしかして皆さんは闇ギルドの支配から逃げるためにここに集まっているんですか?」
思わず口に出して聞いてしまった。すると、数人が目を細めた後、うなずいてから女性の方が口を開く。
「あなたたちはなんであんなところにいたの?」
「俺たちは実はこういう依頼を受けてきたもので・・・」
「依頼者の場所もよくわかってないんですよね・・・」
彼らはこの依頼者側の人間だということはわかるので依頼書を見せる。可能なら情報が入手できればラッキーと思っていたら、それ以上の結果が返ってきた。
「え!?あなたたちフィオーレの魔導士なの!?」
「はい」
「これ!!私たちが出した依頼書なんだよ!!」
「え!?そうなんですか!?」
どうやらここにいる人たちが命懸けでこの依頼を出した本人だったらしい。居場所すらわかっていなかった俺たちからしたら本当にラッキーである。レオンたちと分断されてなければなおよかったけど・・・
「こんなガキを寄越すなんて・・・俺たちのことをなんだと思ってるんだ」
「おい、ユウキ」
確実に俺たちに聞こえるような声でそう言ったのはユウキさん。彼の他にも同じような感想を抱いている人は多いようで、皆さんざわついているようだった。
「みんな!!失礼だよ」
「大丈夫ですよ・・・えっと・・・」
「私はジェリー!!このチームのサブリーダーをやってるわ?」
「チーム?」
自慢げに胸を張って見せる簡単に髪を束ねたぢけの黄緑色の髪の女性。ジェリーさんの言葉に首を傾げると、その後ろにいたユウキさんが答える。
「俺たちは現国王・バリーザウィッチを殺すために集まってチームを作ったんだ」
「その名も【キラー・ハンター】!!」
「意味同じじゃないですか?」
「それは突っ込んじゃダメよ、シリル」
しっかりものなのかと思っていたジェリーさんだったが、意外とポンコツの分類に入るような気がしてきた。こんな人がサブリーダーで大丈夫なのか?
「でもフィオーレの魔導士は優秀だって聞いてるからね!!これは頼もしい戦力だよ!!」
「待てよ。こんなガキが本当に戦えるのかよ」
ジェリーさんが纏めてくれようとしていたにも関わらず、相変わらず敵意剥き出しのユウキさん。言いたいことはすごくわかるんだけど、ここまでの態度を取られるとさすがにムッとしてしまう。
「そんなに納得できないなら、俺たちの力を見せましょうか?」
「ちょっとシリル」
挑戦的な言葉を返した俺をウェンディが慌てて止める。ユウキさんもこれを受けてこちらを睨み付ける。
「そこまでの自信があるんだ?」
「はい。なぜなら俺、あなたが敵意剥き出しだった、ティオスを倒した者なので」
「「「「「!?」」」」」
この発言にまたもざわめき出す。そりゃそうだよね、この国をこんなにした存在がこんな子供に負けたと言われたら、さすがに信じられなくなってしまう。
「ウソつくな!!じゃあさっき街にいたあいつは誰なんだよ!!」
「あぁ・・・あれは・・・」
「ティオスではなくて別人なんですよね・・・」
「そもそも、髪の色が違ったでしょ?」
「・・・あ!!」
シャルルの言葉でしまったといった顔になるユウキさん。言われてみれば、レオンは顔立ちこそティオスと瓜二つになってしまったけど、髪の色は金髪のままだから、そこが大きな違いでもある。それに身長も伸びきってはいないから、本物のティオスよりは全体的に小柄なはずだし・・・
「待てよ・・・じゃあ俺関係ない奴を殺すために周りを・・・」
冷静になった途端、自分が先程行った行為がどれだけ危険なものだったのか気が付いたらしく、次第に顔が青ざめていく。無理もないよね、いくら仇を取るためとはいえ、周りに関係ない人がたくさんいたわけだしね。
「・・・俺、リーダー降りよっかな・・・」
「そんなにネガティブになります!?」
なんとこの血の気盛んな方がリーダーだったとは・・・そしてすぐにこんなに気持ちが落ちてしまう精神力で、よくチームを纏められてきたな。
「大丈夫だよユウキ、元々そんなにリーダーっぽくないし」
「それはそれで傷つくな!!」
傷心中の心をさらに抉りにいくジェリーさん。なんやかんやこの人たち楽しんでないか?危機的状況じゃなかったのか?
「・・・わかった、今は君たちを信じるよ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、今の状況を教えてもらってもいいですか?」
「わかった。ジェリー」
「は~い」
信用をもらえたところで詳細を把握するために彼らからの聞き取りを開始する。しかし、レオンの誤解は解けたと思うけど、あいつとまた会ったら全体に動揺が生まれてしまいそうな気がする・・・せっかくの合同任務のはずだったけど、今回は別行動でいった方がいいかもしれないな・・・
後書き
いかがだったでしょうか。
前回は途中で一回切って今回は切りどころがわからず予定より進むというよくわからない流れを展開しておりますww
次はどこまでいけるかな?気長にお待ちくださいm(__)m
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