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レーヴァティン

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第二百十九話 四国分裂その三

「そうだったのよ」
「そうだよな」
「中世の欧州でもね」
「知識人はな」
「宗教家でね」
「官吏の仕事もな」
「宗教家がしていたから」
 読み書きが出来る者は宗教家が殆どだったからだ、そこがローマ帝国とキリスト教化された欧州の違いだったのだ。
「だからね」
「政教分離なんてな」
「出来なかったわよ」
「日本だってな」
「官吏で読める人もいたけれど」
「お坊さんがな」
「読み書きが出来て」
 そしてというのだ。
「そのうえでね」
「知識もあってな」
「それでね」
 そのうえでだったのだ。
「政治にお坊さんが加わっていたのよ」
「普通にな」
「江戸時代でもね」
「天海さんや崇伝さんだな」
 二人共徳川家康に仕えていた、天海は百二十歳まで生きていたと言われる恐ろしいまでの長寿の人物でもあった。
「知識がある即ちな」
「能力があったからよ」
「政にも関わっていたか」
「けれどこの世界じゃね」
「聖職者じゃなくても学問が出来てな」
「読み書きが出来てね」
「それなりの能力もある人材が多くてな」
 それでというのだ。
「別に宗教家に頼らなくてもな」
「政が出来るわね」
「だから政教分離も出来るな」
「そうよ、政教分離にはね」
「聖職者以外にな」
「読み書きが出来て教育も受けている」
「そうした人材が多く必要だな」
 久志はあらためて言った。
「言うだけじゃな」
「無理よ、それなりの下地がないとね」
「政教分離も出来ないな」
「そしてあらゆる宗教を認めてね」
「そっちでの争いをない様にするにも」
「その下地が必要なのよ」
 そうだというのだ。
「やっぱりね」
「そういうことだな」
「どの政でも同じだけれどね」
「下地が必要だな」
「それなくて何かしようとしても」
「失敗するよな」
「そうなるわよ」
 双葉は久志に話した。
「もうね」
「そうだよな、だったらな」
「その下地を確認してね」
「なかったら下地を作る」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「やっていくことよ」
「そういうことだな」
「政は一日にして成らず」
「ローマもだったしな」
「柔道もね」
「何でもそうだな、まあ柔道はな」
 久志はこちらについては笑って話した。
「それ言ってる爺さんがな」
「糞爺ね」
「自分の孫を自分の為に利用することしか考えてないな」
「とんでもない爺さんよね」
「まさに糞爺だな」
 その本を書いた老人はというのだ。 
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