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レーヴァティン

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第二百十八話 上陸作戦その五

「だからな」
「ここはだね」
「金も使ってな」
「敵を切り崩していくね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「敵をな」
「孤立させていくね」
「ロンドンをな」 
 こう言ってそうしてだった。
 久志はイングランドの南東部に拠点を築いてそうしてだった。
 そこからロンドンをまずはその周辺から攻めていくことにした、まずはその周辺の街や村を降していってだった。
 傭兵達も領主達も金になびく者はなびかせていった、そうしてロンドンの兵達もこちらに入れていった。すると。
 ロンドンは完全に孤立しその守る兵も減った、それを受けてだった。
 国王は守りきれないと見てロンドンを脱出することにした、彼は側近達を連れて密かにリバプールまで逃れていった。
 主を失ったロンドンはどうしようもなく残った貴族達は国王が去る時に言われた通りに久志に素直に降った。
 それを受けてロンドンに入城してだった、久志は貴族達に問うた。
「そっちの王様は俺に降れって言ったんだな」
「はい、ご自身が去られた後は」
「民達を巻き込むなと言われて」
「帝国は民は決して傷付けないと言われて」
「そうされました」
「そうか、逃げたけれどな」
 それでもとだ、久志は言った。
「民はか」
「巻き込むなと言われていました」
「左様でした」
「それならば降れと」
「そうしてご自身はです」
「リバウールで再戦を挑むんだな」
 自分にとだ、久志は言った。
「わかったぜ、俺は確かに民に手出しはしない」
「左様ですね」
「それが帝国ですね」
「民に一切危害を加えない」
「左様ですね」
「民は国だ」
 まさにそれそのものというのだ。
「土地と合わせてな」
「それ故にですね」
「決してですね」
「民を傷付けない」
「それは守られますね」
「ああ」
 絶対にというのだ。
「何があってもな」
「王もそのことをご承知で」
「それで、です」
「この度はです」
「我等に任せて下さいました」
「民を救うことを」
「あくまで戦うという者達だけをお連れになって」
 こう久志に話した。
「もうこのロンドンで戦おうとも勝てないと察せられ」
「そうされました」
「ですが願わくばです」
「今後王のお命は」
「俺が処刑するのは下種だけなんだよ」
 久志は貴族達に笑って答えた。
「敵でも立派な奴はな」
「そうされないですか」
「左様ですか」
「お命を助けて下さいますか」
「王も」
「優れた奴は誰でも使う」
 久志は微笑んで言った。
「それが俺のやり方でな」
「それで、ですか」
「王もですか」
「今後は」
「お命は」
「取らないさ、話を聞くと立派な奴だ」
 そう考えるからだというのだ。 
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