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女の子は美少年

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第二章

「昔の欧州の服は知ってましたけれど」
「タイツもよね」
「それもよね」
「知っていたわね」
「はい、身体にぴっしりとしていて」
 それでというのだ。
「今から見ると凄い恰好ですね」
「そうよね」
「ベルばらはズボンだけれどね」
「この役はタイツだから」
「同じ十八世紀だけれど」
「タイツだとね」
「尚更よね」
「凄いよね」
「目立つよな」  
 男子生徒も言うことだった。
「これは人気出るかもな」
「ああ、男装の何とやらで」
「男の娘ってあるけれどな」
「その逆だしな」
「それはそれでな」
「人気出るか」
 こう言うのだった、そうした話をしつつ練習をしていき。
 本番となったが実際にだった、舞台を観た誰もが言った。
「あっ、いいな」
「あのタイツの娘似合ってるじゃない」
「可愛いわね」
「美形だしね」
 宏美の容姿のことも話された。
「演技もいいし」
「舞台で一番映えているな」
「そうよね」
「いい感じよ」
 笑顔で言ってだった、その宏美を観た。舞台は大成功だったが特に少年役だった宏美のことが注目された。
 美形でスタイルもいいそして演技もいいとだ。それで宏美は学園でも人気者の一人になった。だが。
 よくだ、クラスでこう言われた。
「ズボン穿かない?」
「これからはそうしない?」
「いや。ズボンって」 
 宏美は自分に言う女子生徒達に困った顔で答えた。
「私女の子だから」
「制服はスカートっていうの」
「そうなの」
「それはね」 
 水色のブレザーとミニスカートそして赤いネクタイと白のブラウスの制服姿で話した、他の女子生徒達もその服装だ。
「無理よ」
「そうなの」
「浅井さんズボン似合うのに」
「それでもなの」
「それはね」
 バツの悪い顔で話した。
「無理よ」
「そうなのね」
「折角だと思ったけれど」
「制服はスカートなの」
「それは絶対なの」
「そう、それはね」
 本当にというのだ。
「だからね」
「それじゃあタイツは?」
「タイツはどう?」
「それ穿いたら?」
「ストッキング位ならね」 
 どうにもという顔だがそれでもだった。
 宏美はストッキングを穿く様になった、そうしてだった。
 ミニスカートにストッキング姿が評判になった、その話を聞いて。
 交際相手である同じ高校の同級生であり演劇部では大道具係をしている川谷要蔵がこんなことを言った。背は一八〇を超えていて長方形の顔をしていて黒髪が短く目は大きく丸い。全体的に引き締まった身体だ。
「今度のデートの時な」
「どうしたの?」
「私服だけれど」 
 外見に似合わず優しい声で言った。 
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