| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おっちょこちょいのかよちゃん

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

150 母と娘の戦い

 
前書き
《前回》
 アントワネットと交戦するかよ子達。まる子の姉達や次郎長一派が応援に駆け付けるも、アントワネットは自身の愛人・フェルセンを召喚する。二人の強烈な連携でかよ子は杖を取られかけるも、その窮地を救うのはアントワネットの娘・テレーズだった!! 

 
 かよ子はまた現れた女性に驚いた。
(この女の人、味方なの・・・!?)
「貴女が杖の所有者ですね。そして次郎長の方々、私達の味方をしてくださる皆様方、私も戦います!」
「テレーズ!お主、行けるのか!?」
「はい、おばあ様が残して下さったこの宝剣があります!」
 テレーズは自分の持つ剣を皆に見せた。
「それはお母様の宝剣ではないか!」
「テレーズか・・・。こんな奴らとつるむより母親の側に寝返った方が身の為だぞ」
「私は決して言いなりにはなりません!」
(テレーズ・・・、前に会った時よりも大いに変わっておる!!)
 石松は驚いた。テレーズが以前よりも強気になっている事を。
「おばあ様の敵、取らせて頂きます!」
「やれるものならやってみるがよい!」
「杖の持ち主!早く杖を!」
「う、うん!」
 かよ子は促されて杖を拾った。アントワネットはハープを速攻で直し、フェルセンは手を前に出す。
「貴様らに裁きを下してくれる!」
 その時、さきこのエメラルドが光る。そして武装の能力(ちから)を持つ者達はそれを発動させる。
「簡単にくたばると思うなよ」
 フェルセンの念力のような能力(ちから)が発動する。かよ子達は能力で防ごうとするも、かなり労力を使ってしまう。
「フェルセン、私も協力するわ!」
 アントワネットはスピネットを出し、そして弾き始める。かよ子達の能力が無効化され、次郎長一派も気絶してしまった。
「くっ!」
 かよ子はスピネットに杖を向けた。音の操る能力(ちから)を再び得た。
(あのフェルセンって男の念力を解除しないと!)
 かよ子はフェルセンに負けじと杖をフェルセンに向けて音波を発射する。
「頑張ってください、杖の所有者!」
 テレーズは宝剣を振るう。フェルセンの念力が無効化された。そしてかよ子の杖の出す音波でフェルセンが気絶させられた。
「この愚かな娘め・・・!!」
 アントワネットはスピネットでテレーズを静粛しようとした。対してテレーズの宝剣からは炎が現れ、アントワネットを襲う。しかし、アントワネットのドレスの能力(ちから)でアントワネット自身は無傷だった。
「テレーズ・・・。お前、自分の母親を何だと思っている!!」
 アントワネットは激怒した。そしてスピネットをもう一度弾く。
「制裁の音楽を与えるわ!」
「アントワネット!私も手伝うよ!貴様ら、私の念力で心臓を握りつぶしてくれる!」
 フェルゼンが加勢する。しかし、効果が全くなかった。そしてバキッという音がした。
「な、なぜだ!?それからなぜ機械が!?」
「僕が壊したよ」
「それからアンタの攻撃は私が防がせて貰ったわ」
 長山とさきこが名乗り出た。長山の眼鏡で機械は破壊され、さきこのエメラルドが光っていた。
「おお、凄いぞ、お姉ちゃん!」
 友蔵が褒めた。
「お母様、覚悟!」
 テレーズが母親に飛び込む。
「愛しきアントワネット!今助ける!」
 フェルセンはアントワネットを助けようと念力でテレーズの動きを封じた。
「山田かよ子!某の刀の力を与える!」
「うん!」
 石松に促されてかよ子石松の刀に杖を向け、杖を剣に変化させた。
「フェルセンの相手をせよ!」
「うん!」
 かよ子はフェルセンに襲い掛かる。
「俺も行くぜ!」
「オイラもブー!」
「アタシも!」
「私もよ!」
 大野の草の石、ブー太郎の水の石、まる子の炎の石、そしてのり子の人形が総攻撃する。そして・・・。
「・・・ん?」
 大野はポケットの中にあるもう一つの石が光り出す。
「雷の石・・・?」
 雷の石が放電した。そして大野の草の石から出された茨の槍でフェルセンを突き刺す。
「うわああ!」
 フェルセンはアントワネットを助けようとするあまりに隙を突かれて総攻撃によって念力で防ぎきる事ができなかった。
「留めだよ!」
 かよ子は剣でフェルセンの首を撥ねた。フェルセンは光となって消滅した。そしてテレーズはアントワネットのスピネットを破壊する。
(後はこのドレスを・・・!!)
 しかし、テレジアから引き継がれた宝剣でもドレスは破れなかった。
「なら首を!」
 テレーズは首の切断を試みる。しかし、なぜかアントワネットの首が斬れない。
「この首飾りで私の首は守られるわ!私はいつも用意周到なのよ!馬鹿娘!!」
 アントワネットは指を鳴らした。牛が、鳥が、山羊が、羊が、豚が現れる。
「この愚かな娘を食い殺しなさい!」
 アントワネットは動物たちに命令した。
「させるか!」
 長山は神通力の眼鏡で動物たちを金縛りにした。
「今だ!」
 次郎長がアントワネットに飛び掛かる。しかし、次郎長の刀をもってしてもアントワネットのドレスは非常に硬い。関根も刀で攻撃したが、歯が立たず、尾藤のボールでシュートしても効果がなかった。かよ子も剣に変化した杖で試みたが、それでも暖簾(のれん)に腕押し状態であった。
「どうすればいいの・・・!?」
 かよ子は困惑した。
「皆!」
「キャロライン・・・?」
 のり子の人形・キャロラインが呼び掛ける。
「アントワネットはあのドレスや首飾りを身に付けてるからそれを脱がせばいいわ!念力とか使える人はアントワネットの身体を服や首飾りから脱がしたり引き離せばいいのよ!」
「な、何だと!?」
 アントワネットは弱点を突かれて動揺した。
「やってみるわ!」
 さきこのトパーズが光る。そしてアントワネットは身ぐるみを残して身体を別の場所へ転移された。アントワネットは恥ずかしさで赤面し、身体を蹲らせた。
「おお、なんと!!」
 友蔵はアントワネットの裸体に興奮した。
「何をする!この破廉恥な者共!!」
 その時、テレーズがアントワネットの背中を剣で突き刺した。
「お母様、覚悟!」
「テレーズ・・・、この、親不孝者め・・・!!」
 アントワネットは光と化した。
「皆様、ありがとうございます・・・」
 テレーズは礼をする。
「そんな事ねえぜ。一番アンタが頑張ってたじゃねえか」
「はい・・・」
「あ、そうだ、報告せんとな」
 尾藤は通信器を取り出した。
「こちら尾藤海斗。もう一人の侵入者・アントワネットは杖の所有者達と共に倒した」
 尾藤は報告を終える。
「皆様、私も貴方達と共に戦います。宜しいでしょうか?」
「はい、もちろんOKです!ね、皆?」
 まる子の姉は周囲に確認した。
「ああ、心強いな」
「はい、こちらこそお願いします!」
 そして藤木救出班は本部区域を出る為に羽に乗る。
「杖の所有者達、そして次郎長様達、この地に連れてこられた少年を救いに向かいのですね?」
「うん、そうだよ」
 かよ子は答えた。テレーズは宝剣を上空へ向けた。青い光線が一つの方角へと放たれる。
「貴女達がこれからお探しになる藤木茂という少年はあの光線の方角の一帯にいます」
「うん、さっき長山君から温泉に入ってるって」
「はい、今はそうかもしれませんが、匿われている場所は別の場所。嘗て東洋の国の帝王達が住んでいるといわれる危険な地域です。それは雪の降り続く森林の付近に都として存在しています。味方が増えて心強いとは思いますがお気をつけて」
「ありがとう、そっちに進むよ」
「ええ、行ってらっしゃいませ!」
 藤木救出班は出発した。
「お姉ちゃん、元気でなあ!」
 友蔵は孫娘の一人に手を振る。
「う、うん・・・」
「孫想いのお爺様ですわね」
 テレーズは友蔵を賞賛していた。
「え、ええ・・・」
 さきこは苦笑した。何しろ友蔵はこの地に呼ばれた身ではなく、ただ孫が心配でたまらずに来たみであるからである。そしてテレーズは祖母から受け継がれた宝剣を見る。
(おばあ様、仇は取りました・・・)
《テレーズ、お前はよく頑張ったよ》
(・・・え?)
 テレーズは今、テレジアの声が聞こえたような気がした。これは宝剣の能力(ちから)で出されたものなのか、それとも自分の幻聴か・・・。

 別の場所ではまた平和を正義とする世界の人間が宙を舞いながら進んでいた。
「あの人達が応援に来てくださったのね・・・。援護しなければ・・・」
 その女性の名前はエレーヌと言った。懐かしさを兼ねてある人物達への援護へと向かう。 
 

 
後書き
次回は・・・
「自分だけの武器」
 本部の区域を抜けたかよ子達は藤木を探しに進む。その一方、剣奪還班として動く三河口は宴の際にフローレンスから貰った手紙を読んでいた。武器を持たぬ三河口にとってその手紙の内容は彼にある希望を持たせる事になる・・・。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧