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レーヴァティン

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第二百十七話 船の中でその二

「俺達にはその知識があるしこの世界にもな」
「そうした知識があるな」
「この世界は中世の様だが」
 この浮島だけでなくそれ全体の話もした。
「技術も知識もな」
「俺達が起きた世界の中世よりも上だよな」
「それも遥かにな」
「そうだよな」
「だからだ」
「船の中でもそうしたもの食ってるな」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「いいことにな」
「本当にいいことだな」
 久志は正の言葉に頷いて述べた。
「それは」
「それだけ戦えなくなる者が減るしな」
「普段でもな」
「それだけ民が栄養失調にならないからな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「そうした知識があるだけでだ」
「全く違うな」
「栄養摂取がだ」
 まさにそれがというのだ。
「人を育ててだ」
「生きらせるな」
「そういうことだ、だからこうしてだ」
「壊血病もなくすか」
「そして他の病気もな」
 壊血病以外もというのだ、船乗り達にとっては嵐や津波と共に問題であったこの病気だけでなくだ。
「防がれている」
「ちゃんとしたもの食う様になっていてか」
「そうだ、だがだ」
「だが?」
「それはこの浮島だけでなくてな」
「世界全体だな、医学書でもな」
 そちらでもというのだ。
「壊血病に色々な病気のことがな」
「書かれているな」
「ああ」
 実際にというのだ。
「しっかりとな」
「この世界では普通に読まれている医学書達ですが」 
 ここで順一が言ってきた、彼にはこの世界ではそちらへの造詣もあるのだ。治療を行う者としてである。
「素晴らしいです」
「栄養についてもなんだな」
「はい、壊血病に脚気に」
「他の病気のこともか」
「書かれています、他には感染症のことも」 
 こちらのこともというのだ。
「天然痘やコレラ、赤痢やペストのこともです」
「全部わかっているんだな」
「梅毒や淋病のことも」
 即ち性病のこともというのだ。
「薬までありますし」
「ペニシリンか」
「当然結核もあります」
「何か進むところは凄い進んでるな」
「そうした世界です」
「そうなんだな」
「ですから」
 それでというのだ。
「この世界の医学ではそれに基づく迷信や偏見はです」
「あまりないな」
「完全ではないですが」
「どうしても無知な馬鹿っているしな」
 久志はそうした者達のことは苦い顔で言い捨てた。
「やっぱりな」
「左様ですね」
「ああ、俺達の起きた世界でもな」
「そして対策を見誤ります」
「そうだよな」
「酷い場合悪い噂も流します」
「デマコーグをな」
 それをというのだ。 
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