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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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初めての・・・

 
前書き
随分と時間がかかってしまいました。
最近時間がうまく取れずにこんなに遅れてしまったので次からは気を付けたいです|ョω・`)サクブンカヨ 

 
第三者side

「いやぁ・・・ちょっと席を外している隙に面白いことしてんなぁ」

真っ赤な髪をした少年は真上から仲間と、彼らと対峙する少年少女との様子を見ている。真上とはそう・・・彼は雲の上に乗ってその様子を観察しているのだ。

「しかしどうするかなぁ・・・純血ではないとは言え、天使の子供と戦ったとなると何されるかわかったもんじゃねぇな・・・」

腕を組み、眉間に皺を寄せる少年。彼はこれからどう自分が動くべきか、頭の中で思考していた。

「・・・少し面倒になるかもだが、これで行くしかないか」

何かを思い付いた少年は、行動に移すためにその場から地上へと移動することにするのだった。
















シリルside

「他の世界の・・・天使?」

突然目の前の二人から言われた言葉に俺とウェンディは困惑して顔を見合わせる。

「そう。私たちはあなたの母親と同じ天からの使いなの」
「お母さんのことを知っているのか?」

アルバレスとの戦いで自身の命と引き換えにみんなを生き返らせてくれたヨザイネ(お母さん)。ほとんど同じ時間を過ごすことができなかった彼女のことを知っているのかと問いかけたが、二人は首を横に振った。

「基本、俺たちは別世界に干渉することはできない。だからお前の母親のことは話し半分にしか知らないのさ」
「干渉できないって・・・今私たちの世界にこうしてやって来ているじゃないですか!!」

オレンジ髪の男が言い終わるのと同時にウェンディが叫ぶように声を出す。でもそれは当然だろう。なぜなら彼らは、本来できないであろうことを平然とやっているのだから。

「そうね。本来なら私たちのこの行動は許されないわ」
「ただ、今回は少しばかり状況が違っているんだ」
「どういうこと?」

一体何が起きると今の彼らの行動が正当化されるのか、皆目検討がつかない。その理由が気になって問いかけると、彼らはニヤリと笑みを浮かべた。

「俺たちの支配者である太陽神・アポロ様がお怒りになられた」
「アポロ様だけではないわ。他の世界の神たちもこの世界の住人たちの行きすぎた行動に怒りを露にしているわ」
「行きすぎた行動?」

彼らの言っていることがイマイチピンと来ない。しかし、その俺の問いは彼らからすれば納得のいかないものだったらしく、深いタメ息をついていた。

「それも理解できていないとは・・・」
「仕方ないわよ、彼らからすればこれが日常なのだから」

ますます彼らの言っていることがわからない。そんな俺たちの様子を見て、彼らは口を開く。その目は先程までのものとは異なり、冷たい目に変わっていた。

「お前たちが幾度となく繰り返す戦争・・・これはもう見過ごすことができないところまで来ているんだ」
「「!!」」

そう言われてハッとした。確かに俺たちは今まで多くの敵と戦いを繰り広げてきた。それも、最近になってからはどんどん規模も大きくなってきているし。

「お前たちの世界の神、アンクセラムは放任主義過ぎる。自分の生み出した世界の管理すら怠り、その結果がこの様だ」
「このままではこの世界は崩壊し、君たちはより大きな戦争を繰り広げるだろう」
「だからその前に、この世界の再構築を計画することにした」
「再構築?」

彼らが何をしたいのかわからず、必死に頭をフル回転させて状況を理解しようとする。そんな俺たちを嘲笑うように、彼らは続けた。

「この世界に新たな神を降臨させ、正しい道へと導く」
「そのために、この世界の住民たちに苦しみを与え、より大きな戦争を起こすのよ」
「なっ・・・」

天使とは思えないような発言に思わず体が震える。怒りにより、明らかに全身の血液が沸き上がっているのを感じた。

「そんな勝手なことを・・・」
「そんなことをしなければならないほど、この世界は乱れているんだ」
「本当は私たちの手であなたたちを殺してしまいたいけど、それをするとアポロ様に何か処罰があるかもしれない」
「だから俺たちは自分達の許される範囲で君たちに苦しみを与える!!そしてそれがトリガーになり、アンクセラムは神の座から追放されるだろう!!」
「お前たちの・・・」

全身から魔力を放出させ、パワーを上げていく。俺は目の前の敵を打ち破るために、ドラゴンフォースを解放し、飛びかかる。

「好きにさせるか!!」
「「!!」」

速度を上げて一気に距離を詰める。一瞬で間合いに入った俺を見て、二人の表情からは驚愕の色が滲み出ていた。

「ヤバッ!!」
「くっ」

ガードの体勢に入る二人。しかし、それよりも早く放たれた蹴りはーーー

「はいはい、終了」

突然目の前に現れた男にあっさりと弾かれ、その勢いのまま吹き飛ばされてしまった。

「がっ!!」
「シリル!!」

近くの木に叩き付けられ全身に激痛が走る。地面に伏しながら顔を上げると、先程の二人の前には赤色の髪をした男が立っていた。

「くっ・・・もう一人いたのか・・・」

想定外の敵の登場でダメージを受けてしまった。しかもかなりの痛みが全身に走っている上に、この国に来てから続いていた体調不良で完全に俺の意識はなくなってしまった。

















ウェンディside

「え・・・シリル?」

さっきまで顔を上げていたはずのシリルが力なく地面に倒れているのを見て、体から冷や汗が吹き出す。

「バーン様」
「すみません、助かりました」

その声で我に返った私はすぐにそちらに目を向ける。そこにはさっきまでの二人の前にいる、赤色の髪をした少年が立っている。

(もう一人いたなんて・・・しかも・・・)

後ろの二人よりも明らかに雰囲気がある。恐らく彼が、この中でのリーダーなのだろうとすぐに察しがついた。

「はぁ・・・」

こちらを鋭い視線で見ていた少年は二人にそれを向けた後、大きくタメ息をつく。

「こりゃあ後でアポロ様に何か言われるな。混血とは言え、他所の世界の天使を殴っちまったからな」
「「す・・・すみません・・・」」

彼の言葉に身を小さくする二人。しかし、少年は二人の肩に手を乗せ笑顔を見せた。

「まぁ気にするな。とりあえず俺が責任は取るからよ。さて・・・」

二人を落ち着けたかと思ったら、今度はこちらへと体を向ける。そのあまりの圧力に、体がビクッと反応してしまった。

「悪いな、お前の大切な奴らを傷つけちった」
「え?いや・・・」

一体何をされるのかと身構えていると、予想外の優しい言葉に拍子抜けしてしまう。私がなんて答えればいいのか迷っていると、彼はそれを待たずに言葉を紡ぐ。

「お願いだ、ここは君たちが引いてくれないか。そうすれば君たちの命も、この国の住人の命も保証する。ただもし・・・」

優しげな笑顔から一転。厳しい顔つきになると、彼は体からオーラを醸し出しながらこちらへと一歩踏み込んだ。

「断るのであれば、俺の身を賭けてでもお前たちとこの国の住民の命は奪ってやる」
「!!」

その目を見てすぐにわかった。ハッタリじゃない・・・彼は本気で私たちを殺そうとしている。それには後ろの二人も驚いているけど、そんな中でも私は必死に頭を働かせた。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員として、この依頼は完遂しなきゃダメ・・・でも・・・)

倒れている皆さん・・・そして街の人たちのことを思い出す。意識を取り戻しそうな雰囲気がない皆さん・・・そして、私一人では、彼らを倒すことができないことなんてすぐにわかった。

「・・・わかりました・・・」

握り込んだ手に力が入り、震えてしまう・・・自分の弱さと身勝手さに、悔しさを抑えることができなかった。

「ありがとう、優しい君に俺からささやかなアドバイスだ」
「え・・・」

私から欲しかった回答を得られたからか、赤髪の少年は笑みを浮かべ、こちらへと降りてくる。

「俺たちは一度この世界から離れる。もちろん、この国の状態はキープしたままで」

ゆっくりとした足取りでこちらへと近付いてくる。それなのに、私はなぜかその場から動かずに、近付いてくるのを待ってしまっている。

「俺たちは今後も同じようにこの世界であらゆる場所を混沌に陥れる。もし今後同じような相談があった時、お前たちにはやってきてほしくない。そうじゃなければ、俺たちはお前たちを殺しかねないからな」

その目は紛れもない本気の目をしている。後ろの二人も同様に、こちらを鋭い目付きで見据えていた。

「・・・それはできません」
「え?」

一瞬の沈黙の後、震える体を抑えながらようやく声を振り絞る。それに目の前の三人にも、困惑しているみたい。

「私たちは必ず力をつけてきます。次は必ず・・・全員であなたたちを倒してみせます」

本当は今すぐにでも彼らを倒したい・・・でも、今の私にそんな力はない。皆さんの命を優先することが今の私にできる最善の手段だと思う。でも、次は絶対にこの人たちを止めてみせる。

「お前・・・」
「いいよ、別に」

私のこの言葉にオレンジ髪の少年が飛びかかってこようとしましたが、前に立つ少年がそれを止めました。

「今日のところは見逃すが、次はない。今のうちに考えを改めておくことだ」

そう言うと、三人は背を向け、どこかへと瞬間移動してしまいます。それを見て、張り詰めていたものが切れてしまった私は、その場に座り込んでしまいました。

「はぁ・・・すみません、皆さん・・・」

倒れている皆さんを見ながら、そんな言葉が漏れ出る。自分の力のなさと不甲斐なさに、悔しさが止まらない。

「街の人を呼んでこないと・・・」

私一人では皆さんを運ぶことはとてもできない。依頼を完遂できなかったせいで気が引けるけど、街の人たちにお願いして皆さんを運んでもらうしかない。

私はフラフラとした足取りでゆっくりと街へと向かって歩いていきます。

その翌日、フィオーレ中を駆け巡ったそうです。【妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強チーム・クエスト失敗】という大ニュースが。それは私たちが初めて経験する出来事でした・・・















第三者side

「なぜ見逃したのですか?バーン様」

先程までいた場所とは全く違う景色。炎が猛るその場所に還ってきた彼らは、ある場所へと向かっていた。

「他所の世界の住民を殺してしまったら、さすがの俺でも殺されかねない。もしかしたらあの方にも責任問題が及ぶかもしれないからな。ったく・・・勝手なことしやがって」
「「す・・・すみません・・・」」

納得行かない表情を浮かべていた二人だったが、最後の言葉に返す言葉もなくなる。しかし、バーンはそんなことを気にも止めなかった。

「まぁいい。ずいぶん遊ばせてもらったからな。ほとぼりが冷めるまでは休むことにしよう」

そんな会話をしながら三人は進んでいく。しばらくすると、目的の屋敷の前に着いた彼らは、背中から翼を出し、中へと入る。

「お久しぶりです、アポロ様。現在の状況のご報告に上がりました」
「あれ?ずいぶん早かったな」

大きなソファに寝ているのか座っているのかわからないほどふんぞり返っている青年。彼のその抑えることのできない存在感に、三人は直立不動で答えた。







 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
今回の章のテーマ【初めてのクエスト失敗】
ずっと最後は勝つスタイルでしたが今回はそれを崩しました。これからの章に繋げていくために必要なことなのでこんな感じになってます。
次からは新しい章に入っていきます。次の章は久々のキャラたちが登場する予定です。 
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