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レーヴァティン

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第二百十四話 殲滅をしてその五

「やっぱり」
「ああ、こっちの水軍を入れてな」
「お陰で渡るにしてもね」
「楽だな」
「若しあそこに王国軍の船がいたら」
 対岸は王国領だ、だからそれも有り得るのだ。
「楽にはね」
「渡れないからな」
「敵の逃げ道を塞いで」
「しかも簡単に渡れる様になってな」
「川に水軍送ってよかったわね」
「お陰で行き来が楽だ」
 久志は心から言った。
「しかもな」
「上流は帝国領やさかいな」
 美奈代が言ってきた。
「そこからや」
「輸送も出来るしな」
「陸路よりも水路や」 
 輸送にはというのだ。
「多くのもんをすぐに送れる」
「ああ、これまでもそうだったしな」
「これからもな」
「帝国は地中湖に黒湖にな」
「ドナウ川やボルガ川もそうしてな」
「栄えてる」
「それでや」
 美奈代は経済そして流通を見てそれを軍事に転用して考えていた、そうしてそのうえで久志に言うのだった。
「この度もな」
「ああ、上流からな」
「物資をどんどん送ってな」
「やってくで」
「そうしないとな、正直騎士団との戦は」
「これまでより水運が使えんでな」
「どうしてもな」
 輸送ではというのだ。
「苦労したな」
「陸路しかも雪であまり通れんでな」
「それを考えて戦をしていたにしても」
 それでもというのだ。
「苦労したのは事実で」
「大変だったやろ」
「そう思うとな」
 それはというのだ。
「ここはな」
「ライン川も使ってな」
「輸送するか」
「そうしていこうな」
「ああ、それで王国を攻めるで」
「殲滅した軍勢には王国の多くの有力な諸侯もいたわね」
 清音が言ってきた。
「全員捕虜にしたけれど」
「政や軍事の中枢にいるな」
「優れた人材も」 
 王国のというのだ。
「王国は今失っているわ」
「連合王国にしてもな」
「捕虜にしているから」
 王国及び連合王国の有力者達をというのだ。
「その意味でもね」
「攻めやすくなったな」
「そうなったわ、だからね」
 それでとだ、清音はさらに言った。
「ここはもうね」
「一気に攻めるか」
「まだ優れた人材はいるけれど」
 王国にも連合王国にもというのだ。
「かなり減っているから」
「その分本当に楽だな」
「ええ、ライン川を越えて」
 そうしてというのだ。
「パリに向かうけれど」
「それでもだよな」
「そちらも人材不足になっていて」
「攻めやすいな」
「そうなっているわ」
「やっぱり殲滅しておいてよかった」
 久志は今このことをしみじみと思った、敵の戦力を奪えば奪うだけそれが自分達にとって利益になるということだ。 
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