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銀河で夢を

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第一章

                銀河で夢を
 星間国家連合略して連合の首都は人類が生まれた太陽系にある、中央政府の首都であり連合の他の国の首都もそれぞれある。
 その太陽系の第三惑星である地球に中央政府の大統領官邸や国会議事堂があり他の省庁も存在しているが。
 創設して比較的新しい国防省のビルの中で国防長官である八条義統は夜遅くまで仕事をしていた時にこう言った。
「宇宙に出ることもありますが」
「今はですね」
「はい、こうしてです」
 サインをした書類を渡した女性の若い官僚に話した、アフリカ系で黒髪をショートヘアにした長身の女性で名前をミア=スゴモという。出身国はケニアである。
「国防省においてです」
「お仕事ですね」
「この通り、ですが」
「それでもですか」
「宇宙に出たくなる時もあります」
「長官は宇宙がお好きですか」
「はい」
 八条は否定せずに答えた。
「幼い頃より宇宙船に乗ってです」
「宇宙に出られていますか」
「そして船の中からです」
 宇宙船のそこからというのだ。
「星々を見ることが好きです」
「そうなのですね」
「銀河鉄道ですね」
 八条は笑ってこうも言った。
「その様だと思うので」
「銀河鉄道ですか」
「ご存知でしょうか」
「いえ、何でしょうかそれは」
「日本の童話です」
 八条はスゴモに微笑んで答えた。
「二十世紀に宮沢賢治という人が書いた」
「童話ですか」
「夜の銀河を空を飛ぶ鉄道に乗って旅をする」
「二十世紀の小説ですか」
「はい、二十世紀前半の」
「その時は確か」
 スゴモは二十世紀前半と聞いて答えた。
「その時は」
「まだですね」
「人類は宇宙に進出していません」
「ようやく空に出た」
「その頃でしたね」
「はい」
 そうだったとだ、八条はスゴモに答えた。
「そうでした、ですが」
「その宮沢賢治はですね」
「そうした作品を書いたのです」
「それはかなりの想像力ですね」
「そうですね、日本では昔からです」
 その二十世紀からというのだ。
「広く読まれている作品でして」
「では長官も」
「中学生の頃に読みました」
 多感なその時にというのだ。
「そして尚更です」
「宇宙にですか」
「親しみを感じる様になりました」
「そうですか」
「はい、そして」
 八条はさらに話した。
「今もです」
「宇宙がお好きですか」
「そうなのです、ですから宇宙の旅は好きで」
「今の様に暫く出ていないと」
「出たくなります」
 その宇宙にというのだ。
「まことに」
「そうですか」
「それでスゴモさんもです」
 彼女もというのだ。 
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