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レーヴァティン

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第二百十三話 包囲してその二

「そっちも頼むな」
「そうさせてもらう」
「ああ、それとそっちも飯は食えているな」
「それは一番安心していい」
 芳直は笑顔で答えた。
「充分以上にだ」
「皆食っているか」
「餓えている奴はいない」
 一人もというのだ。
「だから安心しろ」
「それは何よりだ、肉も食ってるな」
「ふんだんにな」
「ならいいさ、肉食って野菜も食って」
「英気を養ってだな」
「ああ」
 それでというのだ。
「動いている」
「やっぱりな、ある程度でも新鮮な肉がたらふく食えるとな」
「人間負けないな」
「それが出来ているうちはな、逆に食いものがなくなれば」
 その時はというと。
「もう負けだ」
「そうなるな」
「餓えていて勝った軍隊もあるけれどな」
「あるにはある」
「それでもその時点でかなりやばい」
「その為敗れている」
 そうなっているとだ、芳直は答えた。
「事実は」
「餓えて勝つのは稀だな」
「餓えた狼は一撃だけだ」
「その力はな」
「それは餓えていて決死の覚悟になっていてだ」
 仕留めて喰らわねば死ぬ、そうした極限の状況であるからだ。
「全力で出す」
「そうだよな、けれどな」
「その一撃を防がれると終わりさ」
 久志も言った、例えば三国志で有名な曹操は袁紹との官渡の戦いで実は先に兵糧がなくなろうとしていた、若し乾坤一擲の烏巣への奇襲が出来ないか失敗していれば敗れるのは彼だった。
「もうな」
「それが餓えるということだ」
「軍隊がな」
「だからだ」
 それ故にとだ、芳直はさらに話した。
「水軍もだ」
「ちゃんとだな」
「食っている、しかもな」
「肉をたらふくだな」
「そうしている」
「なら安心だな、じゃあ他の敵は」
「油断だ」
 芳直はまた一言で述べた。
「それだ」
「そうだな」
「それは気をつける」
「そうしてくれ、それで俺もな」
 久志は笑って話した。
「油断はしないさ、それでな」
「戦を考えているな」
「ああ」
 是非にというのだ。
「これからの戦の為にな」
「三国の軍隊を殲滅するな」
「そうすれば騎士団は降り」
 三国のうちの一国がそうなってというのだ。
「そして王国と連合王国もな」
「主戦力を失うな」
「ああ」
 そうなるというのだ。
「完全にな」
「そうなれば王国も連合王国も楽に倒せる」
「軍の主力を失うことになるんだ」
「だからな」
 それでというのだ。
「ここで殲滅することだ」
「そのつもりさ、捕虜を収容することも出来る」 
 そちらも万全だというのだ。 
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