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イベリス

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第十四話 反面教師その七

「それで観賞用、愛玩用にです」
「小さくなってなのね」
「なった犬で」
「元狩猟犬なのね」
「はい」 
 まさにというのだ。
「トイプードルは」
「そうなのね、そういえば結構吠えるわね」
「ワンワンって」
「元狩猟犬なのはわかったわ、けれどね」
 それでもとだ、先輩はさらに話した。
「あれだけ小さいと」
「三キロない位ですと」
「やっぱり吠えられても。例え向かって来られても」
「怖くないですね」
「ええ」
 そうだとだ、先輩は咲にどうしてもという声で答えた。
「それじゃあね」
「じゃあうちの犬は。モコっていうんですが」
「モコちゃんね」
「はい、可愛くて頭がよくてとても性格がいいんですよ」
「物凄くいい娘なのはわかったけれど」
 それでもと言うのだった。
「そこまで小さいとね」
「ボディーガードにはなれないですか」
「というか小山さんがね」 
 むしろ咲の方がというのだ。
「護る方ね」
「実際そうなっていますね」 
 咲も否定しなかった。
「お散歩してると」
「そうでしょ」
「本当に小さいですから」
「ぬいぐるみみたいなものよね」
「外見も」
「それじゃあね」
 どうしてもというのだ。
「そこまで小さいとね」
「むしろ私がですね」
「護ってあげないとね、そもそも誰かを護れる位であって」
 それでとだ、先輩はこうも話した。
「いいと思うわ、人間はね」
「そうですか」
「男の子がよく言われるけれど」
「女の子もですか」
「将来お母さんになるでしょ」
 先輩はこのことは強い声で話した。
「そうでしょ」
「結婚してですね」
「まあ結婚しなくてもね」
 それはなしでもとも話した。
「子供はね」
「そうですけれどね」
 咲はいささか引いて苦笑いで述べた。
「そのことは」
「色々なケースでね」
「そうしたこともありますね」
「けれどやっぱりね」
「社会的にはですよね」
「結婚してが普通よね」
「そうですよね」
 咲はこのことは率直な笑顔で応えた。
「やっぱり」
「それでね」
「結婚して」
「子供生まれたら」
「その子供を護るんですね」
「お母さんが護らないと」
 子供、それをというのだ。
「お父さんがいてもね」
「やっぱりいつも傍にいるから」
「産んだだけあってね」
「第一に護るべきですね」
「お父さんはその次よ」
 子供を護るのはというのだ。 
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