同じものを食べること
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第二章
そのルースの息子のドナルド父親によく似た青年である彼がだ。
ブルガリアに旅行に行って楽しんでいる時にあるレストランの前を通ったが。
ここでだ、店の前に置かれている席の一つで店で買ったと思われるものを食べている老夫婦と思われるの傍にいる犬茶色の垂れ耳の中型犬がだ。
二人と一緒に食べているのを見て言った。
「人と同じものを食べてるんだなこの子」
「ああ、そうだよ」
「いつもそうしてるのよ」
老人二人が答えてきた。
「食べる時はね」
「三食共な」
「私達はこの街で食料品店をやってるの」
「今は大体息子夫婦がしていてな」
「お昼はこうしてね」
「外で食べるのが多いな」
「私の名前はデシー=コシュチェスコよ」
「わしはストーンヤ=コシュチェスコだ」
二人は名乗りもした。
「そしてこの子はストーンカだ」
「いい名前でしょ」
「ワン」
ここで犬も鳴いた、見れば二人が食べているものと同じソーセージを食べている。老夫婦は自分の足下で食べている彼を愛おし気に見つつさらに話した。
「子犬の時に拾ったがな」
「最初は警戒していたのよ」
「けれどお腹が空いていると思って」
「その時食べているものをあげたらね」
「懐いてくれたんだ」
「それで今はすっかりよ」
「馴染んでくれたんだ」
二人にというのだ。
「やっぱり一緒にいてな」
「一緒に食べてこそ親子よね」
「人間と犬でも絆があれば親子になれるしなったら」
それならとだ、ドナルドも頷いた。
「一緒のものを食べるといいか」
「皆が皆そうじゃないけれど」
「それも一つのやり方でしょ」
「確かに。うちの子達も花屋さんでもそうだし」
こちらは猫同士と犬同士でも親子だからだとだ、ドナルドは考えた。
「それじゃあな」
「ああ、わし等はこうしている」
「そうなのよ」
「そうだよな、いいお話を聞けたよ」
ドナルドはまた頷いた、今度は笑顔でそうした。そしてだった。
アメリカに帰ると両親と花屋の夫婦にこの話をした、すると皆いい話を聞いたと彼と同じ顔になった。そしてそれぞれの犬達と猫達を見ると彼等もそうしていた。
同じものを食べること 完
2021・7・21
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