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レーヴァティン

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第二百十二話 急襲その三

「いいよな」
「ええ、ステーキもいいけれど」
「ハンバーグもな」
「いいわよね」
「そうなんだよな、俺も楽しみだよ」 
 夕食の時はというのだ。
「本当にな」
「お互いそうね」
「そうだな、ソースはデミグラスだな」
「そっちなの」
「俺としてはな」
 こう留奈に言った。
「ソースはそっちだな」
「そうなのね、私もデミグラス好きだけれど」
 それでもとだ、留奈は言った。
「この浮島にないけれど一番はおろし大根よ」
「ああ、和風にか」
「そう、お醤油でね」
「それもいいよな」
「こちらの浮島にはないけれどね」
「東の浮島にはあるけれどな」
「この浮島にはないから」
 それでというのだ。
「残念だけれど」
「それでも一番好きか」
「おろし大根でね」
 その上に醤油をかけてというのだ。
「食べるのが好きなのよ」
「和風もいいよな」
「そうでしょ」
「俺も好きだぜ」
 久志は笑って述べた。
「おろし大根に醤油はな」
「そのハンバーグも」
「あっさりしていてな」
 そうした味でというのだ。
「好きだぜ」
「そうなのね」
「ああ、ただこの浮島はな」
 どうにもというのだ。
「大根自体ないからな」
「そうそう、蕪はあってもね」
 それでもとだ、留奈は応えた。
「大根はなくて」
「それで醤油だってな」
「どちらも東の浮島にあるのよね」
「そうだっていうな」
「ええ、けれどね」
「こっちの浮島にないのは事実でな」
 それでというのだ。
「食えないんだよな」
「おろし大根にお醤油のハンバーグもで」
「それで大根自体もな」
「お醤油もね」
「ないからな」
「あの組み合わせは味わえないわね」
「ああ」
 久志は残念そうに答えた。
「無念だよ」
「そうよね」
「あの組み合わせはいいよね」
 淳二も言って来た。
「脂っこいお肉があっさりなって」
「食いやすくてな」 
「他のソースで食べるよりずっと美味いんだよね」
「だよな、あの味のハンバーグやステーキをな」
「また食べたいね」
「この世界、浮島じゃ無理でもな」
「じゃあ起きた時にね」 
 そちらでとだ、淳二はハンバーグを食べて赤ワインを飲んだ。戦場にいるので食器はどれもシンプルなものだ。
「食べようか」
「そうするか」
「うん、ハンバーグやステーキをね」
「おろし大根と醤油でな」
「食べようね、この組み合わせ焼き餃子とか焼き魚でもいいね」
「焼き魚でもな」
 これでもというのだ。 
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