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イベリス

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第十三話 学業もその十一

「これがね」
「そうなのね」
「まあそこはね」
 母は娘にさらに言った。
「お父さんの主観だから」
「言っても仕方ないのね」
「幾ら所沢に球場があって」
「西武が強くても」
「パリーグでしょ」
 母は西武のこのことについても述べた。
「西武は」
「うちは一家全員ヤクルトなのよね」
「皆巨人嫌いでね」
「燕党ね」
「リーグも違うし」
 パリーグの西武とセリーグのヤクルトではというのだ。
「余計にね」
「馴染みないのね」
「そう、咲も神宮は行っても所沢行かないでしょ」 
 その球場もというのだ。
「そうでしょ」
「だってね、ヤクルトの試合しないから」
 それでとだ、咲も答えた。
「だったらね」
「行かないわね」
「埼京線自体ね」
「乗らないでしょ」
「電車も都内より少ないわね」
「都内は別格だけれどね」 
 特に山手線はそうである、その電車の多さは間違いなく世界屈指である。かつ地下鉄もかなり多い。
「それでもね」
「埼玉になると」
「少ないわ」
 このことは事実だというのだ。
「本当にね」
「そうなのね」
「けれどそれは東京と比較してよ」
「やっぱり別格ね」
「東京がね、それでも埼玉も何百万もの人がいるよよ」
「やっぱり多いわね」
「東京と神奈川、千葉、埼玉はね」
 何といってもという口調での言葉だった。
「人は多くて交通もね」
「いいわよね」
「けれどお父さんはね」
「埼玉嫌がってるのね」
「そうなの、まああれよ」
 母はこうも言った。
「食わず嫌いよ」
「食べものじゃないけれど」
「けれどそれよ」
「行ったことなくて言ってるのね」
「それだけだから」
 娘に笑って話した。
「まあね」
「そんなになのね」
「気にすることないわ」
「そうなのね」
「ええ、まあ愚痴を言っても」
 それでもというのだ。
「最初だけでね」
「すぐに終わるの」
「そう、そしてね」
 母は娘にさらに話した。
「すぐに慣れるから」
「それでなのね」
「安心していいわ」
「それじゃあね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「お父さん嫌になっても自暴自棄にはならないし」
 そうしたタイプではないというのだ。
「それでお酒は飲んでもね」
「自棄にはならないの」
「お酒を飲んで憂さ晴らし位よ」
 することといってもというのだ。 
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