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八条学園騒動記

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第六百二十一話 文化祭がない国その八

「偉いよりね」
「凄い方がね」
「いいわね」
「あれよね、全然偉くないのにね」
 七海も言ってきた、レモンティーを飲みながら。
「エウロパ貴族みたいにね」
「連合でもだよね」
「偉いと思ってる人いるわね」
「そうでしょ、働いてなくてお金もなくて資格も学歴も技能も実績もコネも友達も社会的地位もないのに」
「つまり何もない」
「それなのにっていうのね」
「長男だか何だから甘やかされて」
 それでというのだ。
「勝手にね」
「そうなる人いるんだ」
「そうなの」
「仕事しないで本とかネットばかり目にして」
 そしてというのだ。
「変に知識だけ持って」
「ああ、頭でっかちなんだ」
「そうなったの」
「けれど大学は行ってなくて」
「学歴ないって言ったけれど」
「それでも知識はあって」
「それで変にね」
 七海は眉を顰めさせて述べた。
「プライド持って」
「自分は偉い」
「そう思ったのね」
「子供の頃から親に甘やかされて」
 またこう言った。
「そうなってね、自我ばかり肥大化して」
「ううん、何かね」
 スターリングはここまで聞いて言った。
「それってね」
「変でしょ」
「その人現実では何もないんだよね」
「今言った通りにね」
「何の能力もなくて」
「それで誰も助けたことないわ」
 そうしたこともしてこなかったというのだ。
「只の引きこもりみたいなものよ」
「それの何処が偉いのかな」 
 スターリングは本気でわからなかった。
「長男でも」
「長男でもそんなのだからお家もね」
「継いでないね」
「ずっとお父さんが生きているけれど」
 それでもというのだ。
「言うまでもないでしょ」
「そんな何もない、何もしない、何も出来ない人なんてね」
 蝉玉も言った。
「それこそね」
「だからね」
「もうよね」
「親戚全員から疎まれていたしというか」
「嫌われていたのね」
「よくしてもらっても感謝しないで文句ばかりで」
 そうした態度でというのだ。
「性格は無神経で図々しくて尊大で恩知らずよ」
「性格も悪いのね」
「本当に何もなくて」
「偉いと思ってるの」
「こんな人もいるけれどね、連合には」
「それかなり例外中の例外だと思うよ」
 菅が言ってきた。
「流石に」
「まあそれはね」    
 蝉玉も否定しなかった。
「そうよね」
「幾ら何でもね」
「ここまであれな人はね」
「この世にいても仕方ないレベルじゃないかな」
「だから親戚からも知り合いからもね」
「皆からだね」
「半分いなかった人になってるわ」
 そうした扱いだというのだ。 
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