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八条学園騒動記

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第六百二十一話 文化祭がない国その七

「もうね」
「それこそだね」
「エウロパ貴族の使っているものなんて何でもないわね」
「あっちじゃ最高級品でも」
「連合だとそんなものね」
「胃の中の蛙?」
 彰子はエウロパ貴族についてこの言葉を連想した。
「つまりは」
「エウロパの中でのことだね」
「あそこだけのことね」
「貴族だ偉いと言っても」
「それでもってことね」
「貴族制度はエウロパのもので」
 この国だけのことでというのだ。
「連合から出たらね」
「それじゃあ」
「もう後は」
「何でもないわね」
 貴族の権威など通用しないというのだ。
「本当にね」
「それこそね」
「井の中の蛙ね」
「大海は何処か」
 菅は井の中の蛙という言葉にさらに続けた。
「それは世界だね」
「エウロパ以外の国ね」
 彰子はあらためて応えた。
「大海は」
「連合だってそうだね」
「連合はエウロパの四十倍の人口で」 
 それでというのだ。
「総生産は六百倍で」
「広さなんてね」
「比べること自体間違いよね」
「隕石と地球位の違いはね」 
 これ位はというのだ。
「あるよ」
「そうよね」
「だから」
 菅はさらに話した。
「エウロパなんてね」
「井戸ね」
「そうだよ」
 連合を海とすればというのだ。
「そうなるよ」
「それ位違って」
「その小さい中でね」
「偉いと思ってるだけね」
「本当にあれだね」
 菅は言った。
「井の中の蛙だね」
「エウロパの貴族ってね」
「小さな中でね」
「お山の大将で」
「もうね」
 それこそというのだ。
「何でもないわ」
「そうよね」
 彰子も頷いた。
「あの人達は」
「どうせならね」 
 スターリングは言った。
「連合の中で何かの頂点に立つ」
「そうなってこそっていうのね」
「偉いよ」
 蝉玉にも話した。
「それでこそね」
「例えば音楽とかで」
「うん、CDの売り上げやネットの視聴でトップね」
「そうなってこそよね」
「偉いよ、いや」
 ここでスターリングはこうも言った、
「偉いっていうか凄いね」
「そっちね」
「偉いんじゃなくて凄い方がね」
「いいのね」
「今そう思ったけれど」
「言われてみればそうね」 
 蝉玉は恋人の今の言葉にレモンティーを飲みつつ頷いた。 
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