レーヴァティン
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第二百十一話 全軍集結その十一
「そうだな」
「ああ、狙うか」
「そうするか」
「先んずれば人を制すだったな」
「項羽の言葉だ」
項羽が旗揚げの時に彼がいた地域の行政官を殺し邪魔者を消してからそうした時の言葉だ、彼の叔父と共にその一歩を踏み出したのだ。
「これはな」
「そうだったな」
「事実先に動いてだ」
「相手に強烈な一撃を浴びせるとな」
「それだけでかなり有利に立てるな」
「ああ、敵に大ダメージを与えて」
そしてというのだ。
「戦の流れも掴める」
「だから最初に急襲したりしてな」
「攻めているな、こっちも」
「事実そうしてきたな」
「そして勝ってもきた」
「そうだな、じゃあな」
久志は述べた。
「ここはな」
「そうするな」
「ああ、空船を使って」
清音の言う通りにというのだ。
「攻めるな」
「そうするな」
「平原だと普通は馬だけれどな」
「今回は違うな」
「馬も使うにしても」
「船だな」
「両方のな」
普通の船と空船だというのだ。
「それでいくな、ただな」
「どうした」
「冬だったらな」
つまり今の季節ならというのだ。
「水路も凍ってな」
「渡れるな」
「それが出来るよな」
「確かにな」
その通りだとだ、正も答えた。
「この寒さなら出来る」
「そうだよな」
「しかし決戦の時はな」
その時にはとだ、正はさらに言った。
「もう春だ」
「春がはじまった頃だな」
「その頃になるとな」
「雪溶けっていうしな」
久志はこの言葉を出した、冬が終わり春が来たという意味の言葉に他ならない。その言葉をここで出したのだ。
「そうなるな」
「いい言葉だがな」
「この場合はな」
「少し微妙になるな」
「雪で足を取られなくなるが」
「水路をそのまま渡れなくなるな」
「そうなる、凍った川は渡れるが」
その足でというのだ。
「しかしだ」
「そうじゃないとな」
「泳ぐかだ」
若しくはというのだ。
「船でないとだ」
「今話してる通りにな」
「そうなる」
「そうだよな」
「それは仕方がない」
どうしてもというだ、正は話した。
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