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イベリス

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第十三話 学業もその三

「巨人にいた」
「自称番長のね」
「あの人そこまで稼いで」
「変なお金の使い方してね」
「そんなこと言ってるのね」
「遊んでばかりで」
 野球以外はというのだ。
「それで残ったのはね」
「何もなくて」
「そんなこと言ってるのよ」
「これは駄目よね」
「駄目も駄目、最悪よ」
 愛はきっぱりと否定した。
「お洒落には使ってもね」
「それは駄目ってことね」
「馬鹿な遊びに覚醒剤にってね」
「最悪よね」
「それで五十億するなんてね」
 こうまでだ、愛は言った。
「絶対に駄目よ」
「ああした使い方は駄目ね」
「お洒落に使っても」
「それは必要ね」
「ええ、女の子だからね」
 それならというのだ。
「必要よ、ただね」
「それでも上手に使うことね」
「それが大事ってこと、いいものを安く買ってね」
「それでやっていくのね」
「お金は大事よ」
 愛はこうも言った。
「使わないじゃなくてね」
「上手に使うことね」
「無駄使いをしないんじゃなくて」
「どう上手に使うか」
「それが大事なのよ」
 こう従妹に話した。
「使わないんじゃなくて」
「上手に使う」
「そうしてね、あとギャンブルはね」
 愛はこの遊びの話もした。
「儲けるには勝とうと思うな」
「儲けるのに?」
「そう、勝とうと思ったら欲が出て」
 そうしてというのだ。
「負けるっていうから」
「そうなの」
「読みの目とか狂うみたいね」
「それで負けてなの」
「余計に悪くなるから」
「もう最初からなのね」
「勝とうと思わない、昔阪急にいた足立投手がそうだったらしいわ」
 このかつての名投手の名前も出した。
「競馬が趣味だったらしいけれど」
「阪急って」
「昔そうしたチームもあったの」
「そうなの」
「私も知らないチームだけれど」
 昭和のことだ、平成生まれの愛も知っている筈がなかった。
「そのチームにいた人でね」
「競馬が趣味で」
「強かったらしいけれど」
「勝とうと思わなかったのね」
「そうらしいの」
「そうだったのね」
「あと親になること」
 愛はギャンブルの話をさらにした。
「それがね」
「儲かるのね」
「遊ぶ方だと儲からないというか」
「巻き上げられるの」
「だからヤクザ屋さんもギャンブルやるのよ」
「親が儲かるから」
「そう、だから儲けたいならね」
 ギャンブル、それでというのだ。 
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